2015年06月

闇金、麻薬工場、振込め詐欺・・・ パート感覚で働く高給取り 【闇のおばさん】たち

 大不況のあおりを受け、半数以上の主婦が仕事を持っている現代社会。今や昼間からゴロゴロしていられるおばさんなど、立派な勝ち組という状況だ。
 そんな世相を反映するように、近年裏社会でも「働くおばさん」が増加していることはあまり知られていない。おまけに彼女たちは血の気の多い男性犯罪者とは働きぶりを異にするため、雇用者も驚くほどの業績を裏社会で上げているという。果たしてその実態は――。

振り込め詐欺おばさん
 裏社会で働くおばさんの典型ともいえるのが、昨年過去最高の被害額を記録した振り込め詐欺。この業界で「掛け子(電話係)」を担当しているおばさんは珍しくない。
「例えば、未公開株を扱うにしても、それなりの株の知識があったほうがいいですが、おばさんたちのやり方にはそんなものは不必要。彼女らは孤独な金持ちの老人を狙って電話をかけ、延々と日常会話を繰り返すんです。すると、相手にしてもらった老人は『株のことなんて全然わかりませんが、あなたの成績になるなら買いましょう』と申し出る。まるでテレクラですよ」(詐欺業者社長)
 驚いたことに老人の客の中には、「あなたが定期的に電話してくれることだけが生きがい」と語る人さえいるのだとか。つまり、客側の合意の上で詐欺被害のリピーターにしてしまうわけだ。
 そのため、この業者の場合、通常「1日数百件」という営業電話のノルマも、おばさんに関しては一切免除。彼女たちは連日決まった相手にだけ電話をかけ、延々と天気や趣味の話だけを繰り返す。そして、時折思い出したように数百万円の架空株を購入させてしまう。給料は成果報酬型のため、彼女たちの月給が3桁を下回ることはないのだ。
「なかには『1億円貯めたら辞めます』と豪語しているおばさんもいるくらいですよ」(同・社長)
 地元の折り込みチラシで応募してくるおばさんたち。面接の際には「あくまでもウチは合法企業です」と説明するが、さすがに1週間も働けば詐欺業者だと気づかないはずがない。ところが、その実態に気づいても、辞めるおばさんはほとんどいないという。「合法企業だと聞いていた」と自己を正当化させ、破格の高収入で感覚が麻痺してしまうわけだ。

闇金おばさん
 近年、闇金業者は客と直接顔を合わせることもなければ、電話口で怒鳴ることもないスタイルが主流になっている。まさに、おばさんたちに打ってつけの労働環境となっているのだ。
「おばさんたちは本当にパート感覚で、朝の9時に出社して夕方5時に退社する。表向きには普通の会社を装っていますからもちろんタイムカードもありますよ。男性社員の場合はリスト屋から買った名簿を元に営業電話をかけまくるのですが、おばさんたちは、『客のおばさん』から『おばさん客』を紹介してもらうのが得意。倍々に客が増える様子はまるでネズミ講ですよ」(闇金業者社長)
 そんなおばさんたちのメイン客層として目立つのは、パチンコ狂いの主婦。電話口では、パチンコ店や旦那への愚痴を延々と聞いてあげているおばさん社員が多い。時折笑いも交えながら、まるで友達感覚の営業スタイルだ。
 また、入学シーズンや正月に増える客層が「おばあちゃん客」だ。「今年はご融資の必要ないですか?」と、おばさん側から積極的に営業をかけ、「お孫さんがそのくらいのご年齢でしたら『妖怪ウォッチ』などがプレゼントに最適だと思いますよ」などと提案するのだが、おもちゃ屋に行ってもそれがわからないおばあちゃん客は購入そのものを彼女たちに頼む。
 そこで、彼女たちは購入した商品を送り、その代金を「貸付金」として利息を払わせる。こちらの場合は年金もあるので取りっぱぐれもなく、商品の値段自体がわかっていないおばあちゃん客たちからは逆に感謝されているそうだ。

 『宝島』2015年7月号では、他にも、「麻薬工場おばさん」や「闇ヘルパー」など、裏社会で働く高給取りおばさんたちの実情のほか、人身売買や詐欺など、未成年にまで手をのばす「凶悪化するホスト」たちの悪質な手口などを取り上げている。


取材・文/上野友行

(全文は『宝島』2015年7月号に掲載)

世代を超え愛される「パンチラ」世界の魅力とは!? “フェチ”を全力でアートに昇華する写真家たち

世代を超えても変わらず愛されるフェチ「パンチラ」。その「パンチラ」をテーマに新進気鋭のアーティストや人気コスプレイヤーが作品を発表した「パンチラ2015」が今年2月に開催。想像以上の大盛況ぶりで話題になった。展覧会で披露された新しい「パンチラ」アートの一部をのぞいてみよう。

P9「パンチラ」1

<ナマダ/コスプレイヤーナマダさんのチラり>







 今年2月、東京・浅草橋にある小さなレンタルギャラリーで開催された、ある写真展が大きな話題を呼んだ。「パンチラ2015」と題されたこの写真展だ。たった1週間の開催期間にもかかわらず、なんと累計で2万人もの人が来場。連日、長蛇の列がギャラリー周辺にまで及んだという。
 この写真展は「パンチラ」というキーワードに興味を持った気鋭のアーティストたちがそれぞれのカタチで「パンチラ」を自由に表現。写真家・サイトウ零央(れお)、コスプレイヤーのナマダといった、その道では絶大な人気を誇る面々が思いのままにパンチラを表現し謳歌する姿は、いやらしさというよりも、むしろ不思議なすがすがしさすら感じさせ、新しい「パンチラ」の誕生を予感させた。
 現在発売中の『パンチラ公式写真集2015スカートの中は、宇宙である』はそんな写真展の熱気と恥ずかしさを丸ごと収録。展示された写真はもちろん、撮り下ろし写真やインタビュー、スカートめくり体験ページと、写真展にもあった遊び心を体験できるようになっている。「面白そうだから全力でやってみた」という突き抜けたバカバカしさと、対象に真摯に向かい合う誠実さ。それがマーケティングやコマーシャリズムにまみれて生きる若者たちの心にガツンと響き、大きな支持を得たのではないだろうか。
 堅苦しい理屈はヌキにして、まずは話のネタにでも写真集を手に取り、その深遠なる世界をチラッとのぞいてみてほしい。

文/中村裕一

(『宝島』2015年7月号より)
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