2014年03月

人気立ち食いそば3社の「値段・味・店」 徹底分析!!

 時間とお金に余裕がないビジネスパーソンに愛されている「立ち食いそば」。そして、それを提供する3大チェーンもまた、壮絶な勢力争いで“余裕がない”状況が続く。はたして、この戦いを勝ち抜くのはどこなのだろうか?

■水面下で勃発!?3社の縄張り争い!
「安く・早く・おいしく」食べられる駅そばや立ち食いそば。ところが、いくら日本の国民食とはいえ、ビジネスパーソンの胃袋をつかむのはそう容易ではない。
 総務省統計局の「経済センサス」によれば、2001年まで順調に伸びていたその店舗数3万5000軒前後は、その後、緩やかに減少。さらに、リーマンショックが追い打ちを掛け、09年以降は千軒単位で減り、12年には3万1869店舗にまでに落ち込んでしまう。
 このように、デフレの持つ破壊力は、そばチェーン店にも大打撃を与え続けてきた。
 ただし、そんな苦しい状況のなかでも、勢いのあるチェーンがある。
 それが「名代 富士そば」「小諸そば」「ゆで太郎」の3社だ。ほかのチェーン店は都内に約20〜30店舗を展開するのがやっとというところが多いが、この3大勢力は、それぞれ80店以上も出店しているというのだから突出しているといっていい。
 では、この3社がどうやって勝ち抜いてきたのか、出店戦略や値段・味・店舗設計などの側面から比較検討してみよう。

【名代 富士そば】
■演歌にこだわる「黒い人」狙いのそば
 創業者の丹道夫社長がいまも陣頭指揮を執る「名代富士そば」の歴史は、半世紀に近い老舗そば店だ。24時間営業を日本で最初に導入したことでも知られる。
 その特徴を表すと、良くも悪くも「こだわり」だ。
「普通のそば店のだしはすでに仕込まれたものが多いのですが、うちはかつお節を使ってるので、風味豊かでおいしいだしがとれるんです」(広報・古城氏)
 だが、一方では少々行き過ぎと感じられるこだわりも少なくない。たとえば、床には大理石を採用し、お手軽のそばにはまるでそぐわない、高級感と居心地の良さを前面に押し出す。さらに、「演歌に統一した」店内のポスターとBGM。これはかつて社長が演歌を聴いて励まされたという経験からきているというが若い人には違和感を与えそう。

富士そば

<人気NO.1> 天ぷらそば 380円
そばにかき揚げが乗っているため、なかなかのボリュームがある。価格も安くてお腹いっぱいに食べらるので、大満足の商品だ。


【小諸そば】
■「メタボ」と「金欠」のビジネスパーソンに人気!?
 3大そばチェーン店のなかで「安さ」をウリにして先頭を突き進む「小諸そば」。3社のなかで、かけそばともりそばが「230円」と最安値価格、なんと牛丼より2割以上も安いのだ。
 それだけではない。店内の卓上に置かれたネギは食べ放題。この「無料取り放題ネギ」を使ってダイエットに励む「小諸そばファン」がいるという都市伝説めいた話は有名だ。
 一般に、そばは300キロカロリー前後とカロリーが少なく、ルチンなどの栄養素も多く含まれている。
そばに、ネギを大量投入して食べれば、満足感はもちろん、健康+ダイエット効果が期待できて当然だ。ちなみに、卓上にはそのほか、七味唐辛子、柚子七味、わさび、小梅、さらに店舗によってはポットにそば湯が置かれているところもある。

小諸そば
<人気NO.2> かき揚げそば 330円
かき揚げは、にんじんや玉ねぎ、春菊、桜海老などの食材を豊富に使用。




【ゆで太郎】
■狙うは「家族連れ」!戦国時代の覇者となるか
 3社のなかで最大の店舗数を誇る「ゆで太郎」。とはいえ、じつは信越食品とゆで太郎システムが運営するハイブリットチェーンだ。その2社ではメニューなどが一部異なるが、今回はより店舗数が多い、ゆで太郎システムに話を聞いた。
 3大チェーンのなかで唯一、通常のそば屋がチェーンに拡大したというのがゆで太郎の誇り。そのためか、そばに対するこだわりは他社を圧倒する。その証拠として「そば粉」の割合が55%にも上るのだ。
「町中のそば屋さんでも、50%前後でしょう。駅構内の立ち食いそば店は18%しか使っていないところもあります」(広報・太田氏)
 また、つゆにも強い思い入れがある。
「1日に1回しかだしをとらないそば店も多いですが、これだと、夕方になるまでに風味が失われてしまうため、うちでは午前と午後の2回にわけてだしとりを行います」(太田氏)

ゆで太郎
<季節限定> 親子そば 430円
鶏肉は肉厚みで食べ応え十分。たまごとめんの絡み合いも抜群だ。




取材・文/オフィス三銃士
(全文は『月刊宝島』2014年5月号に掲載)

消費増税!牛丼、コンビニ、100均etc…小売各社の生き残り術とは…?!

 消費税増税に伴い、各企業はさまざまな対応に迫られる。なかでも消費者の動向が売り上げに直結する小売業界では、その対応次第で大きなチャンスにもピンチにもなり得る両刃の剣だ。今後の生き残りをかけた小売業界各社の増税対策術を紹介する。

■前回の増税では多くの混乱が生じた

 そもそも消費税は1989年に導入されたが、その直後は小売業界においても販売額にそれほど大きな影響はみられなかった。しかし、税率が5%に引き上げられた97年以降は商業全体の販売額が減少。なかでも小売業界の落ち幅は大きかった。
「小売業界では、97年の増税時にさまざまな混乱がありました。増税前の駆け込み需要により、品切れが続き機会損失が出てしまったところさえあります。また、それとは逆に、多くの需要を見込んで生産を増やしながら、結局在庫を抱えてしまい経営が圧迫されてしまったケースもあったのです」(永濱氏)
 このように増税に伴いさまざまな混乱はあったものの、その後の販売額をみると、緩やかだが回復傾向にある。小売業界にこうした明るい兆しがみられたなか、ここにきて4月からの増税によって再びマイナスの影響を受けることが懸念される。
「今回の増税で97年の増税時と同様の混乱が起こることは十分に考えられます。ただし、今後の景気動向で給与が上がることなどを考慮すると、駆け込み需要の反動による消費減退は一時的なものになるかもしれません」(永濱氏)
 ただし、一方では年金受給者は、2014年4月分(6月支払い分)から受給額が減るうえに増税が重くのしかかることになる。こうした人々の負担が大きくなることを考えると、全体では小売業界における消費の冷え込みが生じてしまうだろう。


【牛丼】対応に注目が集まる牛丼チェーン すき家は強気の値下げ決行

 吉野家は4月から牛丼並盛りの税込価格を280円から300円に値上げする。これに伴い、玉ネギの増量など品質改良を進めるという。他方、すき家は値下げに踏み切る。
「4月から牛丼並盛りの価格を税込280円から270円に値下げします。量などの変更は行いません」(ゼンショー広報担当者)
 松屋の対応は未定だ。
増税牛丼
<写真>
増税後の大手3社の対応に注目が集まる!




【カップ麺】各社増税分を転嫁するなか日清食品は値下げを実施!

「4月以降も内容量の変更はせず増税分を価格に上乗せします」(エースコック広報担当者)
 このほか東洋水産も同様の対応だ。そんななか日清食品は「日清ラ王」の税抜き価格237円を198円にするなど、大胆な値下げを実施する。容器や具材を見直した徹底したコストダウンの効果だという。
増税カップ麺jpg
<写真>
多くの商品は増税分が価格に上乗せされる



【コンビニ】増税後もお得感を高めるファミマのサンドイッチ

 ファミリーマートでは増税前の3月からサンドイッチのリニューアルを実施。200円台の商品を対象に価格をすえ置くだけでなく、パンの大きさを5%アップさせたのだ。
 一方他社は、「自社商品の価格設定は、今後動きがあるかもしれません」(ローソン広報担当者)
 セブン−イレブンは検討中とのこと。
増税コンビニ
<写真>
店舗数は年々増加。今後増税による影響はあるのだろうか




取材・文/オフィス三銃士
(全文は『月刊宝島』2014年5月号に掲載)
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