2013年12月

香山リカが診る!松本“マッチョ”人志の精神分析

松本人志 長らく「天才」の名をほしいままにしてきた松本人志だが、出演番組の視聴率は低迷、監督映画は大コケと近年は不調気味。加齢による衰えを補おうとしているかのようなマッチョ化は、中年男にとっては他人事ではない。肉体改造の背景をなす心理について、精神科医の香山リカさんに訊いた。 (構成/編集部)



<写真>失ったものを埋めるために肉体を鍛える中年男性は多いという。さしもの天才もトシには勝てない?(写真/アフロ)

■40代〜50代は微妙な年代 自信の揺らぎは当然
 ダウンタウンはとても面白かったですね。吉本という非常に堅固な組織がある関西のお笑い界に、師匠を持たずに登場した二人は、秩序や権威の内側からの破壊者というイメージ。ビートたけしさんやとんねるず、爆笑問題は東京だし、知性や学校文化といったバックボーンを持っていましたけど、彼らにはそういうものもなく、破れかぶれの攻撃みたいなところがあって。かといって世をすねて屈折している感じでもなくかわいらしい面もあり、女性にも人気がありました。
 ただ、ある程度の年齢になってくると、破壊する対象もいなくなってくるし、逆に自分たちが上になってしまう。さほどマーケティング的なことをしなくても、みんながどんなことにおかしみを感じるかを直感し、自然にやれるのが松本さんのすごいところだと思っていましたが、最近はさすがに世間との乖離(かいり)も感じますね。そこで自信の揺らぎが生じている、ということはあるかもしれません。 
 40代〜50代というのは微妙な年代なんです。だんだん世間の動きに疎くなってくるんですが、もっと上の大御所みたいに腹をくくることはできない。まだ今のトレンドもある程度わかるし、わかるはずだという気持ちもある。かといって若いときのようにつかみきれてもいないわけです。年をとって、蓄えも十分あり、結婚して子供がいるのだから、当然といえば当然なんですが。

■視聴率から体脂肪率へ 数字的成果に依存する
 松本さんはかなり熱心に体を鍛えているそうですが、三島由紀夫を見てもわかるように、筋肉というのは男性にとって一種の鎧(よろい)なんです。何かを隠そうとしているというか、弱さの裏返しとも言えます。女性がダイエットをしてどんどん細くなるのと似て、中年になって体を鍛えたり走ったりする中年男性は多いです。手を出しやすいし、やればやっただけ結果が出るから。努力と成果がきちんと対応している。
 テレビの世界には視聴率や年収といった明快な物差しがありますよね。映画監督なら観客動員数とか興行収入とか。そこが厳しくなってくると、それに代わるわかりやすい自信の証(あかし)がほしくなる。
 言いたいこと言うんや、やりたいことやるんや、わからんやつはアホや、とかつては思っていたかもしれないけど、それがウケたことによって、知らない間に矜持(きょうじ)が数字に置き換わっていったのかもしれませんね。その世界で生きてきた人だから、努力と成果が確実に一致する行動に熱中することで「オレはまだまだいける」的な自信を保持しようとしているのかも。


香山リカ



<写真>かやま・りか……1960年北海道生まれ。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。

(記事の全文は『月刊宝島』2014年2月号に掲載)

みかんブリ、かぼすヒラメ、ゆずかんぱち・・・今話題の“いい香り”がする「フルーツ魚」とは?

 若者を中心とした消費者の“魚離れ”が深刻化している。2009年の国の調査によると、日本人の1日あたりの魚介類摂取量は、10年間で2割以上減っており、漁業関係者は頭を悩ませている。魚が不人気な要因として、「調理が面倒」「小骨があって食べにくい」といったことが挙げられるが、見逃せないのが魚特有の“生臭さ”だ。そこで、今注目されているのが、生臭さがないという「フルーツ魚」。魚人気復活の切り札として期待されている。

フルーツ魚1




<「みかんブリ」は食べるとほんのり柑橘系の香りがするという>

 フルーツ魚とは、柑橘類、オリーブなどの果物を与えられた養殖魚のこと。時間が経っても魚肉が変色しにくく、生臭くないどころか、なんと食べるとほのかにフルーツの香りまでする。
 こうした特徴は、魚の体内に蓄積された果物の成分の働きによるものだと考えられている。高知大学と鹿児島県の漁協が協力して、2007年に発売した「柚子鰤王」が、フルーツ魚の元祖といわれている。今では「かぼすヒラメ」(大分県)、「ゆずかんぱち」(高知県)など、各地域の特産品をエサにしたブランド魚も続々と登場している。
 そんななか、12年4月にデビューし、話題となっているのが愛媛県の「みかんブリ」。愛媛県の水産試験場が、特産のみかんジュースの搾りかすをエサに混ぜて魚を養殖してみたのが、開発のきっかけになった。
 ブリは5キロになるまで育てるのに通常約2年かかるが、みかんブリは出荷2カ月前からみかんを与えるという。「ふつうの養殖ブリを口に入れると生臭さが残ります。これは後からレモン汁などを加えても消せませんが、みかんブリには生臭さがもともとありません」と、みかんブリを販売する宇和島プロジェクトの木和田権一社長は話す。
価格はふつうの養殖ブリよりも高めだが、「生臭さが苦手な女性の方やお子さんにも好評です」と木和田さん。12年の出荷量は約7万尾、13年は10万尾の出荷を目指す。
 一部の寿司店チェーンのフェアで食べられるほか、百貨店の通販(期間限定)などでも入手できるという。姉妹ブランド魚の「みかん鯛」も人気上昇中とか。

フルーツ魚2



<みかんが入った固形飼料>

(文/野澤正毅)

関東連合元幹部、工藤明男の独占手記公開!〜六本木クラブ襲撃事件の公判に大きな影響を与えた『いびつな絆』〜

半グレ集団が傍聴席から怒声浴びせる「六本木クラブ襲撃事件」の異様な法廷で、ベストセラー『いびつな絆 関東連合の真実』の著者・工藤明男が明かした真相

■傍聴席のガラが悪く裁判員が怖がる 
関東連合3





<写真:11月13日に開かれた傷害致死等の裁判員裁判に証人出廷する直前の工藤明男氏>

 この11月13日、私は「六本木クラブ襲撃事件」の被告人AとBの裁判員裁判(傷害致死罪、凶器準備集合罪等)で、証人として東京地裁に出廷した。AとBとは、拙著『いびつな絆 関東連合の真実』でも触れた、私が支援する2人のことだ。
 いまだ海外逃亡中の見立真一君(殺人犯として国際指名手配中)が、「先に出頭した裏切り者のAとBの2人に罪をなすりつける」という方針を崩さず、事件で逮捕された後輩たちに「AとBも含めた先輩たち3人に命令されてやった」と供述させている。
 私に証言を依頼してきたのは、A・Bの弁護団と検察側双方で、関東連合内部の人間関係や見立君と被告の関係を証言してほしいというものだった。
 11月11日から14日まで続いた両被告の裁判は、初日から異様な雰囲気だったと聞く。目立ったのは33席の傍聴席に対して、それを上回る数を動員した見立派のメンバーだった。傍聴は抽選となり、開廷前から裁判所玄関前には不良風の若者が列をなした。
「傍聴席のガラが悪くて裁判員も怖がってしまい2人の印象が悪くなる。どうにかならないか」
 弁護士から相談されたが、私や2人を敵対視している相手に「来ないでくれ」と言ったところで聞くわけがない。彼らは見立君の意を汲(く)んで、見立君の事件関与を供述した2人を、威圧するのが目的だったはずだ。
「僕の証人出廷の際はヤジを飛ばされるはずです」
 すでに私の証人出廷の情報は、関東連合関係者の間で広まっていた。
「そうなったら退廷を命じられるから大丈夫です」
 弁護士は私を安心させるように言ってくれた。
 そもそも私が拙著を書いたのは、事実に即して六本木の事件を裁いてほしいという願いがあったからだ。事件を首謀した見立君はいち早く海外に逃亡、犯行に誘われた同級生のAとBや後輩の百井茂被告などに罪を着せようと画策した。見立君の意に反して、「事実」を供述すると決めて出頭したAとB、彼らを支持した私は関東連合の裏切り者とされ「工藤を殺(や)れ」と、いまも命を狙われ続けている。
 最良の形は、この事件の裁判で拙著が証拠に採用されることだった。
「弁護団会議で弁護団の方針に採用させてもらうことになりました」
 私の願い通り、拙著はA、B両被告の弁護方針に採用された。そして、その内容に沿って証言台に立ってほしいという依頼があったのだ。本を出版して最も達成感を感じた瞬間だった。

■裁判所前に若い不良集団が
関東連合2






<写真:事件後、海外にいち早く逃亡し国際指名手配を受けた見立容疑者>

 11月12日の裁判は、解剖医の証人尋問だけで、関東連合関係者と思われる者は法廷にいなかったようだ。
 翌13日、証人出廷当日の朝9時、傍聴券を手に入れようと裁判所の抽選の列に並んでいた担当編集者からの電話で目覚めた。
「初日よりも大勢の関係者らしき者が傍聴券の抽選に並んでますね」
 その日は、裁判所の前で『月刊宝島』の撮影の予定が入っていた。証人出廷にあたって、その様子や感想を手記にまとめてほしいという依頼があり、その記事に関係する撮影だった。雑誌の発売がA、B両被告の判決後だったので、引き受けることに決めていた。
 出廷当日の午前中は、共犯者である百井被告の証人尋問が行なわれていた。前日までの法廷内の様子を聞く限り、関東連合関係者は、事件当事者が出廷する裁判では必ず傍聴席を埋めている。その日、百井被告が出廷していれば、見立派の主要メンバー全員が裁判所の中にいるはずだ。撮影は桃井被告の出廷中に決行されることになった。出廷前に彼らとはち合わせして、小競り合いや悶着を起こしたりすれば、私の証言者としての印象まで悪くなる。それだけは避けたい。 
 11日は傍聴にあぶれた若い連中が、喫煙を禁じられた裁判所前でタバコをふかして群れていたという。撮影には時間をかけられない。編集者の事前の段取りで、手際よく2、3分で終わった。
 A、B両被告の弁護士とは裁判所の中で落ち合う約束だったが、午前中の公判に出席している弁護士をロビーで待っていては、彼らとはち合わせする可能性もある。弁護士の配慮で、私は司法協会の会議室で待機することになっていた。待っていると、午前中の法廷を終えた弁護団が現れた。
「百井被告に対する検察の証人尋問では、今回証言しようと思った気持を聞かれると、『本当は先輩(AとBのこと)については言いたくなかったけど、2人の支援者がマスコミなどを使って見立君にすべての罪を被(かぶ)せようとしている。その方針に納得がいかない。きちんと話そうと思った』などと答えていた。検察官は逆に『罪を誰かに被せようということで話をしてませんか?』と、念を押すかのように質問していた」
 検察官は2人に対して厳しい姿勢で臨んでいるようだった。検察官は両被告に対して、見立君と同世代だという理由で重い責任を問おうとしているのだ。この点は、罪を2人になすりつけたい見立君の方針と部分的であれ合致する。私には少しでも検察官の見立てを覆すことが期待されていた。


写真/中筋純

(記事の全文は『月刊宝島』2014年1月号に掲載)
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