2013年05月

「ご祝儀収入」1億円超えも!?知られざる歌舞伎界の「ギャラ」事情

 「千両役者」とは元来、江戸時代の売れっ子歌舞伎役者を指した言葉で「年に千両を稼ぐ役者」
との意味。現代の貨幣価値に換算して1両はおおよそ10万円、つまり千両=約1億円の年収と
いうことになる。果たして平成の梨園に千両役者はいるのか?

 最後に発表された2004年の長者番付では、歌舞伎界でトップだった市川海老蔵の納税額が
4970万円で推定年収1億4100万円。次いで松本幸四郎が推定年収1億1800万円で、
この2人だけが年収1億超え。言葉本来の意味での“千両役者”であった。

 「歌舞伎役者のほぼ全員は松竹と専属契約をしていて、ギャラも松竹から支払われます。
主な収入源は歌舞伎やその他演劇公演、映画やテレビ、CM、イベント等への出演料になります。
看板クラスの役者が1回の歌舞伎公演に出演した際のギャラは、公式発表されていませんが、
関係者たちの話によればだいたい500〜700万円が相場とされています。公演期間は1カ月弱
ですから日当にして20万円前後といったところ。尾上菊五郎などの人間国宝クラスの役者になると
1日の出演料は50万円あたりまではねあがりますが、その分毎日の出演ではなく特別出演
という形を取ったりもします」(演劇評論家)

■タニマチのご祝儀 人気役者は「億」単位
 しかし、これらはあくまでも表の数字だという。「先日亡くなった中村勘三郎さんの脱税が
07年に発覚したことがありましたが、その際の国税庁の発表によれば所得隠しが2000万円に
申告漏れが7000万円。これは主に襲名披露興行のご祝儀収入などによるもので、他にも
後援会によるチケット販売手数料の所得隠しを指摘されました」(芸能記者)

 歌舞伎役者の後援会は、いわゆるタレントのファンクラブなどとは違って文字通り“後援者”の
集まりであり、公演時には高額な席のチケットを大口購入もするし、折々にはタニマチとして
相当な額の祝儀をはずむことにもなる。
「勘三郎さんのような人気役者となれば後援者の数も多いだけに、ご祝儀の類は年間で億の
単位に届くのではないでしょうか?」(前出・演劇評論家)

 なお先の海老蔵は、実父・團十郎さんの死により約10億円の借金を相続することになったと
いわれるが、これは團十郎さんが保証人になっていた妻の父(海老蔵の祖父)の不動産取引の
失敗によるもの。

 「その肩代わりは松竹がしていますから借金苦というほどではありませんが、それでも今後
これは支払い続けなければならない。小林麻央との結婚披露宴費用の総額が5億円ということで
話題になりましたが、これも支払いは中継した日本テレビによるもので、海老蔵自身にそこまでの
財力はありません」(前出・芸能記者)
歌舞伎界きっての有名役者である海老蔵だが、その懐具合はさほど芳しくないようだ。

歌舞伎
<収入は人気に比例する>

「タレント育成」の甘い勧誘に“700万円”の出費!親子の夢を食い物にする「幼児園」とは?

 過熱気味だった「お受験ブーム」から、ステータスとしての「教育」へ。子どもの憧れや
親の見栄を狙って、タレント斡旋まで含んだ新たな教育ビジネスが生まれている!
監督省庁未定、幼児園」の正体とは? 親はいったいいくら「投資」したのか?

■お受験ブームはもう過去の話!?
 言語教育は幼児教育で花盛り。もはや「お受験」では飽きたらず、我が子にさらなる華を
添えたい、という親の意向に沿った教育ビジネスが活発だという。
「いま、お受験よりも外国語修得や学校教育に組み込まれたダンスなど他のエデュケーション・
ステータスが欲しい親御さんが増えてきてます」

 こう語るのは教育ビジネス・コンサルタントの下妻直樹さん。そのニーズをとらえた「幼児園」
という新しいビジネスができているというのだ。
「保育園や幼稚園はそれぞれ厚生労働省や文科省の管轄で、福祉と教育に分岐しています。
幼児園はこの二つと違って、高度な教育を売りにしている。だから幼児園関係者は認可事業
として早く国に認めてほしいようですね。親御さんも国のお墨付きが欲しいでしょうし」

 新しい〈幼児園〉という教育ビジネスとは?じつはそこにも陥穽(かんせい)があると下妻さんは
警告する。「事業自体が認可を得てないから、怪しい業者が付け入る隙(すき)があるんです。
だからブームに踊らされず、保護者は入園までにちゃんと調べてほしい」

■「タレント育成」の甘い勧誘に泣かされた
 「音楽系や体育知育の系列というんで入れました。お恥ずかしい話、そこでタレントに
ならないかと娘が誘われた。芦田愛菜ちゃんに憧れてるから、その夜ははしゃいじゃって」
無認可幼児教育団体に通っていた主婦Rさんがそう漏らす。娘を思う心半分、セレブに憧れる
女心半分で園職員と相談。特別紹介料を要求もされず、ダンスと歌と言語のプログラム
月4万2000円を加算された。

 「月謝が11万円ほどなので3年間で396万円です。おやつ代は5000円で3年間で18万円。
教材費や必要な用具費などいろいろ足すと20万くらい。入園料ですか?16万です。
特別プログラムの費用が2年半で126万円」

 Rさんの出費は延長保育料も含めると総額約700万円となっていた。かなりな出費は覚悟の上
だったという。しかし、修了したものの約束のタレント事務所への紹介はない。そのことを訴えると
「突出した才能ではなかった」とすげない返事。年収450万のRさん母子は泣き寝入りするしか
なかった。「スーパー児童育成」に期待したが結果は普通の女の子へ。親子の夢をカネに変えて
吸い上げるのが教育なわけ?前述の下妻さんは苦々しげに結ぶ。

 「そういった事例は増えつつあります。監督省庁がないということで、甘い蜜で誘い、
ぼろ儲けを企(たくら)む業者がいる。困るのはけっこう、大手の音楽教育や体操教室運営元が
乗せられていること。調べても『有名なところが支援団体なんだ』と安心させるようなことをいう。
口コミや配布資料だけでなく、公的機関や卒園者などへも問い合わせすることですね」

取材・岸川真 イラスト・なかやましげこ

幼児
<甘い言葉に毒が! 親子の夢を食いものにする悪徳業者にご用心!>

あなただけの「手塚治虫」短編集が作れる!編集長はあなたです。

 日本を代表する偉大なマンガ家、手塚治虫。亡くなってから24年が経つが、
遺(のこ)した作品の数々は今も世界で読まれ続けている。

 手塚プロダクションが運営する会員制ウェブサイト「手塚治虫マガジン倶楽部」では、
月1050円(税込)の会費でライブラリーの検索・購読や限定ショップでのグッズ販売、
チャットルームといった各種サービスを提供しているが、三省堂書店のオンデマンド
出版サービスと組んで、手塚作品をエピソード単位で組み合わせてオリジナルの一冊を
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 利用は「手塚治虫マガジン倶楽部」の無料会員登録で可能。「マイセレクション」機能を用いて、
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マシンが印刷製本する様子も見られる。音楽でいうミックステープのようなもので、ファンには
たまらないはず!

文/高岡洋詞

手塚治
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