2013年01月

人口減なのにナゼ大学は増える!?法政大学教授が語る 「劣化」する大学の実態

■無試験で入学させる制度が大学を劣化させた
 田中眞紀子の発言、「いまの大学は愚者の楽園だ!」、ぼくは大賛成です。もちろん、タイミングなどを
考えてほしいけどね。ともかく主旨はズバリYESですね。大学はもう末期的な状態です。死亡診断書を
書きたいくらい。先月の朝日新聞に大手私大(慶応・立命館)も経営難のために、給料に関して教職員と
揉(も)め、組合と裁判沙汰になっている、なんて記事が出ていました。私大は、どこも大変です。多くの
私大が、いつ潰れてもおかしくない状態ですよ。

 それに、いわば偏差値戦争とでもいうような状況です。東京の私学の雄と謳われている大学と
いえども、半分は無試験で入れておりますから。信じられないでしょうが、旧帝大や一橋大、東工大
といった超有名な国立と競争するために、定員の半分をまず埋めてから、入試をやるのです。偏差値の
今までの高さを維持するためです。これ詐欺といってもいいくらいのことですね。

 それ以下の、いわゆる「MARCH」と言われている大学も、右に習えなのですよ。偏差値50以下に
落ちたらまずい、といった恐怖からでしょう。なにしろ50を切ったら無限に凋落する、と信じられて
いますから。第一、高校側も、そのような偏差値の低い大学に教え子を進学させなくなるのです。

 たとえば、高校側からの推薦で入れる場合、まともに受けたら入れないレベルの学生たちを
押し込んできます。大学側は、一応推薦入学した学生の学習状況を追跡する、と先方の高校に
伝えますが、あまり強くは言えないでしょう。お互いにすでに腹の内を知り尽くしているからです。
高校側も、いい大学に一人でも多く入れたいわけで、それが中学に対する宣伝になりますから。
ですから、高校側も背に腹はかえられないわけですね。

■「お前みたいなブスは死んでしまえ!」
 学期末の恒例の「学生による教員評価」のこと。アンケート形式で、授業の内容、教師が黒板に
きちんとした字で書いているか、説明が分かりよいかどうか、などの内容を受講した学生たちに聞く
制度があるんですけど、これがひどいもんなんです。これはすべての講義・授業について尋ねるので
量も膨大です。その点では同情します。

 アンケートには、マークするだけではなくて、担当教員に対する「講評(自由感想文)」を書く欄が
あります。もしそこに自筆で書けば、字体から、誰が書いたか判明するかもしれないので、それらは、
アンケートを集約する会社に依頼するのです。後日、きちんとしたデータが印刷されて送られてきます。
ただし、夏休み前に行ったアンケートの結果が、10月か11月ごろに自宅に送られますが、ぼくは別に
開いてみようとしないから、ゴミ箱行きですよね。

 しかし、このアンケートの分析に信じられないお金が使われているようです。ちなみに、仄聞(そくぶん)
したところでは、私の勤めている大学では年間7000万円がそのアンケート調査に使われていると
言われてます。全国に800ある大学の8割以上で実施されているんです。ものすごい無駄使いだと
思いますよ。でも、文科省の言うようにアンケートをやらなければ、私学の場合、私学助成金が給付
されないわけです。要するに、全国の私学は、助成金欲しさに「教員評価」に協力しているのですよ。

 これがどれだけひどいかというと、「自由感想文」に「お前みたいなブスは死んでしまえ!」みたいな
罵詈雑言が平気で書かれていたりして、名指しされた教員は落ち込み、退職まで考えたりするのに、
書く方は「無記名」の気楽なもの。しかもこのような内容が、私のところにも聞こえるとは、いったい、
個人情報の尊重、などといった大学外ではごくごく当然のことが、何故かできていない。

 この教員の授業を受ける前に「概要(シラバス)」を読みましたか? という問いに「いいえ」と答えて
おきながら、「授業はシラバス通りにすすみましたか?」という問にも「いいえ」と答えていたりするん
です。しかもそれが相当数いる、ということは、まともに質問を読んでもいなければ、まじめに回答も
していないということです。そういうものに、どうして教員が生活を脅かされないといけないんですか、
ふざけるな、この野郎!と思うこともしばしばですね。

 ああ、そうそう、こうしたアンケートの答えがまとめられて、1冊の本にして、各教師に配布するという
ご丁寧な大学がある。同僚がどのように学生に評価されているかが一目でわかるのですよ。
なんのためにそんな愚かなことを行っているのか、わかりませんですが。もっとも、このアンケートは、
アメリカではとっくの昔に廃止されております。そして、これを日本に導入することを積極的に勧めた
大学でも、現在では、すでに止めているそうです。お騒がせな大学ですね。

 教員も、学生の人気取りのため、採点に手加減を加えることもあるようで、期末試験の成績評価から
「C」や「D」が減ったということです。大勢の学生から「最低の授業だった」と書かれたら最後、
非常勤講師の場合、大学によっては失職しかねないわけですから。

■「学問」の背景のない学部、大学が乱立している!
 そして大学が、なぜ乱立するのか。これは私学助成金というおいしい蜜があるからでしょうが、よく
分かりません、たぶんそうでしょうね。私学といえども国からの助成、つまり税金の恩恵に浴している
わけです。経営難と言われても、大学経営には旨(うま)みがあるということでしょう。

 ある大学が、学部を新設しようということで、文科省に申請に行った。そうしたら、その窓口になった
文科省の係官が「私を理事にしてくれたらすぐに認可手続きが運ぶように取り計らいましょう」と言った
そうです。大学側は、まさかそんな取引き、というか交換条件は呑めないと断った、そうしたら新設学部
に見合うようなキャンパスの広さがないとかどうのと難癖(なんくせ)をつけられて、学部新設の話は
ツブされたそうです。

 そのくらい、文科省は私学に口を出す。金を出す代わりに口も出してくるんです。自分たちの天下り先
とでも思っているんじゃないかな。ところで、新設・乱立する大学、あるいは学部のほとんどが、長い
学部名であって、しっかりした学問が背後に屹立(きつりつ)しているとは思えない名前なんですね。
コミュニケーションなんとかとか。福祉とか観光とか、国際交流・・・、そして「文学部」はほとんどの大学
から消えつつありますね。少なくとも、旧帝大からは消えてしまっております。「文学」はもう、人間が
生きてゆく上で必要とされなくなってきているんでしょうか。

大学

<18歳人口と四年制大学数の推移>

元社員が語る「倒産」の実態!!もし自分の会社が倒産したらどうなるのか?

 “不景気日本”を象徴する「倒産」の二文字。だが実際、勤めている会社が突然倒産するって
どういうことなのか?実際に倒産を経験した人から話を聞くと、そこには想像もつかない悲惨な実態が
見えてきた。

■突然の倒産発表!社員さえシャットアウト
 「そろそろ17時。時計を見て、さあ今日も終わりだな、などと考えていたところに、社員は全員会議室に
集合という連絡が入ったんです」そう話し出したのは中堅食品商社に10年ほど勤めていたAさん32歳。
急いで会議室に行くと、そこには社長のとなりに、弁護士だという2人の男性が座っていたという。

 「全員が集まったところで社長から、『みなさんには申し訳ない、うちの会社は本日をもって倒産
しました。全員私物をまとめて18時までに退社してください。今後、会社には自由に出入りできません』
という話がありました。18時に遅れた外回りの人間は会社に入れなかったみたいで、寮住まいの社員も
その日は自室に戻れなかったといいます」

 会社が倒産して事業活動がストップすると、その後の清算などに備え、残った財産の保全を
することになる。そこで、一時的に社員を含め外部の人間が会社資産に一切タッチできなくする処置が
執られるのだ。

 「うちの場合は、本当に一切合切がなくなる倒産ではなかったんです。会社が潰(つぶ)れたので、
すぐさま社員は全員解雇ということになりましたが、残っていた資産から解雇分の手当や当日までの
給料は出ました。もちろん、私はすぐにハローワーク通いにはなりましたけどね」

 Aさんよりもさらに悲惨だったのは、40代以上の社員たちだったという。一応退職金はもらえたよう
だが、年齢的な問題もあり再就職も難しく、住宅ローンなどで行き詰まった話も伝わってきたそうだ。

■給料は優先されるがその原資もないのが普通
 じつはAさんのケースはまだまだ恵まれている部類だ。従業員が20人ほどのソフトウェア開発会社の
開発主任だったBさんは次のように語る。「朝出勤したら正面のドアに『倒産した』と印刷された紙が
一枚。ドアは南京錠で施錠されていて何人かの社員が呆然(ぼうぜん)と立ちすくんでいました。
そういえば給料はここ数カ月遅れていて、先月分は支払われていなかったんです。

 結局、そこに掲示されていた債権者集会というのに出て会社の事情がわかりました。会社資産の
残高がたったの5万円だったんです。社長は社長でいろいろ手配して借りまくってついにギブアップ。
もちろん、ほとんどの債権は取りっぱぐれで給料も踏み倒しです。それなのに集会の時に久しぶりに
みた社長の顔色がよくって、はっきりいえばはらわたが煮えくりかえりましたけどね」国が未払い給与を
一部補塡してくれるという話を頼りに、Bさんは必要書類を弁護士に提出するのが精一杯だったという。

■倒産直前!給料分は現物支給!?
 未払い給料は労働債権になるため、一般には未払いの税金などと同じく一般債権より優先して
支払われる。ただし、それも破産会社に資産があればのこと。借金を重ねた末の倒産ではそれも
望めない。いいのか悪いのか、なかにはこんな例もある。事務用品卸に勤めていた28歳Cさんの
経験だ。

 「ある晩、社長が突然営業部に顔を出すと『明日で倒産します』と言ったんです。それまで
『待ってくれ・・・月末には・・・』などと言われて給料も遅れに遅れていました。一瞬、間があった後、
社員たちが詰め寄ると、社長は『まるで現金がないんだ。どうせ商品や備品も二束三文に評価される。
それよりは今晩のうちにみんなが持って行って、払えなかった給料の足しにしてくれ』と泣き出しました」

 社員たちはそれまで自分たちが扱っていた最新のノートパソコンや周辺機器、IT家電をそれぞれに
確保して、結局倉庫にはなにひとつなくなってしまったという。「もうみんな必死でしたよ。結果として、
僕ももらってない給料の何倍分もの在庫品を運び出しました。翌日、弁護士がやってきて正式に
倒産の話になり、会社の負債総額は2億円。給料に充(あ)てられる資金はまるでないということ
でしたので、もらえるものはもらっておいてよかったと思います」

 普通、余裕のあるなかで倒産を決意する経営者はなかなかいない。やはり、会社が潰れるときには、
一切余裕がないところまで追い込まれているのがほとんどなのだ。

倒産

<2011年の産業別倒産件数>

取材・文/オフィス三銃士
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