2013年01月

ランキングでわかる!“大地震の確率が上がった街”ワースト10とは

“大地震の確率が上がった街”ワースト10

■2年ぶりに公表された地震動予測地図
 2012年12月21日。政府の地震調査委員会から、あるデータが公表された。それが、12年から
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を色分けで示した「全国地震動予測地図」だ。
同様の調査は02年から毎年公開され、その判断基準は地震を起こす活断層の長さや、同じ地点で
大規模な地震が発生する周期などで算出されてきた。

 ただし11 年は、東日本大震災を予測できなかったことによりいくつもの課題が指摘されたために
発表が見送られていた。だが昨年末、ついに3・11後では初となる最新の発生確率が示されたので
ある。地震調査委員会によれば、今後は東日本大震災のような地震を“想定外”としないように、
過去に起きた最大規模以上の地震発生も考慮し、地震動ハザード(危険性)の過小評価をなくしていく
という。その上で、この予測結果に「現時点では最良」というコメントを寄せた。

 またこの発表では、同時に全国の都道府県庁所在地等が30年以内に震度6弱以上の揺れに
襲われる確率が数値化された。その結果をみると、47都道府県庁所在地のなかで前回の調査結果
よりも確率が上昇したのは36地点。なんと、全国約7割の場所で地震の発生確率が上昇したのだ。
その図版化された内容をみれば、北海道の根室市周辺と、茨城県から高知県にかけての
太平洋沿岸地域で高い確率が示されていることがわかる。

 ちなみに、前回の予測結果から発生確率が大きく上昇した都道府県庁所在地の上位10カ所を
まとめると、以下のランキングができあがる。茨城県の水戸市では、じつにプラス31%と2年前の
結果のおよそ2倍、千葉県千葉市もプラス11%と桁違(けたちが)いに増加している。

地震

<全国都道府県庁所在地 地震発生確率上昇度ワースト10>

■茨城県に3・11以上の大津波が襲う危険性も
 ではなぜ、震度6弱以上の地震発生確率に関し、茨城、千葉は2年前の調査から大きく上昇した
のか。「その原因には、先に起きた東日本大震災がある」そう指摘するのが、筑波大学で地震と
防災の研究を行う八木勇治(やぎゆうじ)准教授だ。

 「3・11を引き起こした東北地方太平洋沖地震は、日本列島の東側にある太平洋プレートと東日本が
載っている北アメリカプレートの境界線で発生しました。太平洋プレートが北アメリカプレートの下に
沈み込むことでひずみが生じ、そこに蓄えられていたエネルギーが開放されて起きたのです。しかし、
茨城県沖はこのプレートのひずみが解消されていない可能性があります。そのため、このエリアで
M8クラスの巨大地震が発生するかもしれないのです」

 八木准教授によれば、茨城県沖で最後に同規模の地震が起きたのは江戸時代。1677年の
延宝房総沖地震である。それから330年以上もたっているため、同様の地震が発生することは
十分にありえるという。

 「延宝房総沖地震では揺れによる大きな被害は報告されていませんが、津波の大被害についての
記録が多くあります。もしもまた同じような地震が起きれば、地震動以上に大津波による被害を想定
しなければならないでしょう」(八木准教授)

 事実、昨年8月の茨城県の発表によれば、同県沖合で最大クラスの津波が発生した場合、
北茨城市は最大11・5メートルもの津波に襲われるという。この津波は、3・11での最大クラスと
なった宮城県石巻市を襲ったものより、さらに約3メートルも高くなる。甚大な被害をもたらすことは
容易に想像できるだろう。

■海溝型地震には大げさな警戒こそ必要
 また、茨城県海上では昨年12月15日にもM4の比較的大きな地震が発生した。これは、茨城県
沖地震と関連性があるのだろうか。「12月15日の地震は東北地方太平洋沖地震の余震のひとつ
なので、直接関係はありません。また、『M4レベルの地震が何度も起きることでひずみが緩やかに
解消されるのでは?』などと考える人もいますが、これは間違い。マグニチュードが1段階上がるごとに
放出される地震のエネルギー量は、約32倍もの違いがあるからです」(八木准教授)

 つまり、M8の地震1回に匹敵するエネルギーをM4の地震で放出するためには、単純計算で
32の4乗、約104万回もの地震が起きなければならないことになる。数十回程度の小さな地震では、
ほとんど巨大地震のリスクを減らせないのだ。

 そんな茨城県沖の地震の危険性を裏付けるかのように、地震調査委員会の出したこの地域に
おける10年以内の巨大地震の発生確率は、従来から発生の危険性が知られている南海トラフの
大地震よりも高い。「とくに、海溝型地震は想定より規模が大きくなる可能性が高い。少し大げさに
警戒しておくべきといえるでしょう」(八木准教授)

取材・文/オフィス三銃士

地方の買い物難民の救世主!「走るブティック」参上!

 消費の冷え込みが厳しい地方で今、大モテの新型ファッション販売店がある。ポーラが運営する
「ムービングサロン」がそれだ。実は、大型バスを改造した移動販売店なのだが、内装はゴージャスで、
さながら「走るブティック」だ。

 「地方ではホテルや宴会場が減り、そうした会場で行う展示販売が難しくなっていました。そこで、
当社の鈴木郷史社長の発案で、ムービングサロンを2011年10月にスタートしました。バスなら
どこにでも出向けるし、場所代もかからないからです。また、地方では百貨店などの撤退が相次ぎ、
ファッションの買い物に困るお客様が増えたことも、きっかけになりました」

 ポーラ・オルビスホールディングス広報・IR室の原恭子さんはこう説明する。ラインナップは婦人服、
バッグ、靴、毛皮、宝飾品など女性用の高級ファッション用品約480品目(約半分がポーラのオリジナル
商品)。ホテルやレストランの駐車場などを借り、1日限定で販売するのが基本。同社の販売員
「ポーラ・レディ」が招く固定客が中心だが、飛び込みの新規客も2割ほどいるという。その場で注文を
受けて、販売員が後日、商品の配送と集金を行う仕組みだ。

 現在、バスは2台で東日本、西日本を分担。1年目は全国約300会場を回り、約1万6000人が
来場した。40〜60代が中心で、1日平均売上高は約140万円だった。「客単価は約6万円で、
展示販売よりも高額。ブラックフォーマルウェアや黒真珠のネックレスが人気ですね」と原さん。
2年目は1台当たりの1日平均売上高150万円が目標で、約500会場を回る予定だ。
“地方で高級品”という隠れたニーズをつかんだ発想は、小売業者にとって大いに参考になりそうだ。

バス

<写真>移動販売車「走るブティック」

(文/野澤正毅)

風邪の9割は、抗生物質を飲んでもまったく効かない!【連載:第5回 その「健康常識」は間違っている!】

 この時期、発熱、鼻水、せき、だるさなどの症状が現れれば、誰しも風邪だと思うだろう。
「早く治すには医者に行って抗生物質を出してもらうのが一番」そう考えている人も多いのではないか。
だがそれは古すぎる「常識」だという。

 医学的には「風邪」という病気は存在しない。「風邪症候群」が正しい名称だ。鼻水、せきやのどの
痛みなどの局部的な症状から、発熱や倦怠感などの全身症状が出た場合、「病院で抗生物質を
処方してもらおう」と考える人は多いだろう。だが「抗生物質ですべての風邪が早く治るわけではない」
と指摘する医師がいる。

 筑波大学附属病院の加藤士郎教授は、抗生物質が効く風邪と効かない風邪について、こう説明する。
「一口に風邪と言われますが、風邪はその原因によって2種類に大別されます。全体の約9割は
インフルエンザなどのウイルス由来、残りの1割は溶連菌などの細菌によって引き起こされると
言われます。実は、抗生物質が効く風邪は、細菌由来の1割。ウイルス由来の9割には抗生物質は
効きません」

■9割の風邪に無効な抗生物質
 加藤氏は「風邪の種類は医師でなくても、鼻水を見れば、ある程度は判断できる」と説く。「黄色や
茶色、緑色の鼻水。また、ネバネバと粘度の高い鼻水は、細菌感染のことが多い。透明な鼻水の
場合はウイルス由来の可能性が高く、抗生物質は効かないと考えてよいでしょう」

 ではなぜ、抗生物質を処方する医師が存在するのか。「あくまで二次感染予防のためです。たとえば、
重度の肺疾患や心疾患がある場合は、二次感染で命に関わる重篤な症状を併発するリスクが高く
なります」しかし予防のためとはいえ、抗生物質の投与に弊害はないのだろうか?

 「抗生物質の副作用としてよく知られるのは、下痢です。抗生物質は、おなかの常在菌である腸内菌
まで殺してしまう。とにかく細菌をすべて殺し、その生態系を壊してしまうのが抗生物質の特徴です。
体にとって良い腸内菌まで殺してしまうため、トラブルを引き起こす可能性があるのです。もちろん、
これはお腹に限った話ではありません」

■抗生物質の使い過ぎがより強い菌を招く
 また加藤氏は、医療現場における抗生物質の使い過ぎの危険性も指摘する。「抗生物質とは細菌を
退治する薬でありますが、使い過ぎるとすぐに、細菌が抗生物質の効果を消失させる機序である耐性を
獲得します。よって明確な目的がないときには使用してはいけません」

 医学界では、1990年代から「抗生物質が一般的な風邪の治療には適さない」という研究結果が増えて
いる。さらに2000年代、日本外来小児科学会のワーキンググループや日本小児感染症学会などが、
「風邪に抗生物質を使わない」という指針を打ち出している。

 ただし、医師によって抗生物質をめぐる考えはまちまちなのが現実のようだ。診療の際には「患者が
医師に何でも確認することが大切」と加藤氏は強調する。「そもそも、『病院で薬を出してもらったら、
それで治療は終わった』とする現代人の感覚は、決して健全とは言えないでしょう」

■ウイルス由来の風邪に効く薬はない
 では、風邪全体の9割を占めるウイルス由来の風邪にかかった場合、どうすれば治るのか?
加藤氏は「ウイルス由来の風邪に効く薬はなく、体を休めるなどして自然治癒力に頼るしかない」
と言う。もちろん、鼻水やくしゃみ、せき、頭痛などの症状を対処療法的に緩和してくれる市販薬は
容易に入手できるが、それは根本的な解決法ではない。

 「ウイルス由来の風邪を根本的に治すのは、自然治癒力のみです。例外的に漢方の葛根湯
(かっこんとう)は効きます。ただし、それは本来の自然治癒力を後押ししてくれる作用であり、
体力のない人が飲んでもまったく効かないという結果になります」

 加藤氏によると、葛根湯が効くのは以下のタイプだ。
「寒気を感じて、温かいものを飲んだり食べたりして、布団にくるまって一晩寝る。すると、一気に
汗が出て翌日ぴたっと元気になっている・・・。そんな丈夫な人には、葛根湯はよく効きます。全体の
6〜7割はこのタイプでしょう。これは老若を問わず、あくまでもその人の体力の問題です」

 そもそも「冬になって風邪がはやるから、と急に体力作りをしてもダメ」というのが加藤氏の見解だ。
「栄養のとれた食事、適度な運動、十分な睡眠。これらの平素の生活をきちんとすると、風邪にも
感染しないはずです。そもそも何かに感染するということ自体、自分の免疫力が落ちている証拠なの
ですから」風邪のシーズン真っ只中だが、加藤氏がすすめるのは「予防」である。「原始的に
思えますが、手洗いとうがいに勝るものはありません」

風邪

(厚生労働省「インフルエンザQ&A」より一部改作の上、掲載)

ネコ好きワーカーに朗報!「ネコワーキング」とは!?〜木村和久のトレンドをゆく〜

 最近乱立気味のノマドワーカーオフィスやレンタルスペースだが、他とは一線を画する企画が現れ、
一部の熱狂的なファンから絶大な支持を得ている。名は体を現すというが、施設の名前が素晴らしい。
「ネコワーキング」という。ひょっとして、そうなのか?そうなんです。常時ネコが2匹いて、仕事の合間に、
撫(な)で撫でできるのだ。

 この「ネコ」という発想は運営者が目玉企画を模索していたところ、知人女性から、「ネコがそばに
いたら幸せ〜」という意見が出たこと。冗談と思いつつも、多方面にアンケートを取ったら案外好評
だったのでやってみようとなった次第だ。

 ネコは里親探しをしてくれるNPO団体から譲り受けて企画の趣旨を説明し、なるったけ人なつっこい
ネコを選んで連れて来たそうだ。その甲斐(かい)あって、猫はこのオフィススペースに馴染(なじ)み、
我々が突然訪れても一緒に遊んでくれたし、ダッコもできた。仕事に疲れたときは頭を撫でて喉を
ごろごろ鳴らさせ、一緒に遊べばいい。ネコに理解がある会員が多いから、ここではネコが一番偉く
振る舞っていられるのだ。

 でも逆にネコが気になって仕事が手につかないかな?しかしネコは寝るのが大好き。だから寝ている
間は起こさないのが暗黙のルール。そう考えれば結構仕事は捗(はかど)る。現在会員は80人程度。
運営者の親族は獣医でネコの健康管理のアドバイスをしている。その他には経営コンサルタントや
劇作家や家具職人などもいて異業種交流もバッチリ。さぞかし女性会員が多いかと思いきや、水道橋
という場所柄か男性の比率が高い。是非女性もネコ喫茶だと思って使って下さいな。

ネコ

<撮影 金子靖>

もの忘れも改善!「鏡の前で笑うだけ」の能力活性法とは!?

■便利な生活がもの忘れを加速させる!?
 本題に入る前にまずは簡単な質問を。昨日の朝食は何?さあ、スラスラ言えましたか?
「頭には思い浮かんでいるんだけど、名前がすぐ出てこなくなった」
こんな“もの忘れ”が、40歳を過ぎた頃から増え始めたという声はよく聞かれる。

 「これらの事例は、一般的には加齢に伴うものですが、特に脳を使っていない人に多くみられます。
でもそれは仕方がない部分もあります。現代は脳を使わなくてすむように便利になりすぎているから
です」と話すのは、現役の脳神経外科医として、毎月1500人以上の患者を診察している、
北原ライフサポートクリニックの脳神経外科医・菅原道仁先生だ。

 確かに、携帯電話の電話帳や履歴を頼りにして、番号を覚える機会はほとんどなくなった。何かを
覚えなくてもインターネットで検索すればいい。さらに最近のネットサービスでは、自分の検索や
商品購入の履歴から欲しいと思う商品を提案してくれる。

 ついつい自分で探したり、考えたりということをしなくなっているが、結果的にはそれが脳の機能を
衰えさせることにつながっているかもしれないというのだ。「昔なら友人の電話番号ぐらいいくつも
覚えていたのに、今は自分の携帯電話番号しか覚えていないという人は多いのではないでしょうか。
脳も筋肉と一緒で、反対に使わなければ衰えるし、使えば使うほど高まっていきます」(菅原先生)

 仕事のパターンが決まっているなど、脳が刺激を受けにくい環境にいる人も脳力が低下しやすいと
いう。人間が刺激に慣れていくのは当たり前のことだが、いい面もあれば悪い面もある。新しいことに
チャレンジしようとするのに腰が重たくなるのはもちろん、日々見聞きするものに対する感動が薄れて
いるのであれば、要注意だ。一連のもの忘れは、そうして脳力が低下したことで起こる症状だという。

■日常生活をポジティブに過ごす
 「たとえば、昨日の夕食が思い出せないのは、単にそれがいつも食べているメニューで、記憶として
残るほど印象深いものではなかったということでしょう。好きなものだったり、美味(おい)しかったもの
だったり、何かインパクトがない限り記憶されにくくなるのです」と菅原先生は説明する。となると、
気になるのはもの忘れを防ぐためには、何をすればいいのかだ。

 「脳を使う環境に身を置いたり、日常生活をポジティブに過ごすことで改善されるはずです」(菅原先生)
とはいえ、ポジティブに過ごせと言われても、はいはいとすぐにできるものでもないだろう。「そんな性格
ではない」「仕事をしていると落ち込むことばかり」と思う人も多いのではないだろうか。そこで、簡単に
ポジティブな気持ちになれる方法を紹介しよう。それは、ズバリ「鏡を見て笑うこと」。おかしくないのに
笑えないと思うかもしれないが、作り笑いでもいいのだという。

 「脳には“騙(だま)されやすい”という特徴があります。辛(つら)くても鏡を見て笑っていると、脳が
騙されてこの人(自分)は楽しそうだと認知します。すると、自然にポジティブな気持ちが湧いてきます。
実際われわれの生活では、楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなり、悲しいから泣くのではなく、
泣いているから悲しくなることが多いのです」と菅原先生は指摘する。

 夕食のメニューを覚えておくためには、誰かと一緒に楽しい会話をしながら美味しい食事をするのが
効果的。そのとき話した会話の内容とともに、何を食べたか何を飲んだのかなど記憶に残りやすくなる
という。また、もの忘れを防ぐためのもうひとつの方法である、脳を使う環境に身を置くために先生が
提唱しているのは、あえて不便だと思う生活を自分に課すことだ。せめてよくかける番号くらいは、
リダイヤルを使わずにかけられるように覚えてみるのもいい。

もの忘れ

<こんな人は脳力低下に要注意>

取材・文/金野和子、オフィス三銃士
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