2012年10月

どうせ死ぬなら「がん」いい!?(下) 〜抗がん剤は9割無意味!?〜

10月9日に発売された宝島社新書『どうせ死ぬなら「がん」がいい』が話題だ。老人ホーム医師で、
ベストセラーとなった『大往生したけりゃ医療とかかわるな』の著者である中村仁一氏と、『がん放置
療法のすすめ』などの著書で従来のがん治療に異論を唱えてきた近藤誠氏が、がん治療の誤解、
医療のウソを語り尽くしている。この著書から“衝撃の内容”の一部を紹介する。

がん

<写真>中村仁一氏(右)と近藤誠氏(左)

■がんの9割に抗がん剤は無意味
 日本のがんの標準治療は「手術、抗がん剤、放射線」だ。検診などでがんが見つかると、
手術+抗がん剤、放射線+抗がん剤、または「念のため」3つ全部をすすめられ、治療に突入
することになる。つまり患者が黙っていると、もれなく抗がん剤付きの治療を受けるハメになる。

 手術や抗がん剤の乱発に待ったをかけるのが近藤氏だ。中村氏との対談ではデータも披露
している。「治療で苦しんでも、メリットがあればいいんですけど。たとえば乳がんは、リンパ節を
取っても生存率が上がらないことが1985年までに証明されてる。なのに日本ではいまも一生懸命
リンパ節まで切り取っています。

 米国では早期前立腺がんの患者367人をいっさい治療しないで15年観察した結果、『何もしないで
様子をみる』、つまり放置療法が最良という結論が出ています。スウェーデンで同様に10年観察した
結論も、全く同じでした。日本ではあい変わらず、前立腺がんの多くは、見つけ次第切り取られて
います」

 また近藤氏は、日本人のがんの9割を占める「固形がん」は抗がん剤で治ることはなく、延命効果を
きちんと証明されたデータもないという。「固形がんというのは、胃がん、肺がん、肝臓がん、大腸がん、
乳がんのような、かたまりを作るがんです。また手術や放射線で治らない再発・進行がんにも、
抗がん剤は効きません。抗がん剤で治るがんは、本当に少ないんです」

■末期がんからの生還例はない
 がん治療では「奇跡的」な例がマスコミに取り上げられることがある。末期がんが治った、転移がんが
突然消えたというものだ。しかし、中村氏は「実例を見たことがない」と首をかしげる。「病院時代も、
老人ホームに来てからも、治療する、しないにかかわらずみんな死んでます」その数、70例以上。

 近藤氏も同様に末期がんの患者が“生き返った”のを見たことはないという。「自然退縮っていうのは、
おそらくもっと初期の『がんもどき』のことでしょう。転移がんが消えたというのも『本当に転移だったの?』
という疑問が残ります」 医学に「絶対はないが」と断った上で中村氏はこう語る。「私の知る進行
がん患者は100%死んでいます」これが現実。「転移がんでも絶対治る」という医者や、怪しい食品に
騙されてはいけない。

■ワクチンを打ってもインフルエンザにかかる
 インフルエンザのワクチンや治療薬のタミフル、リレンザも、抗がん剤と同じく効き目が怪しいという。
「インフルエンザのワクチンを打って、抗体ができるのは血の中でしょ。しかしウイルスの入り口はのどや
鼻の粘膜だから、そこに抗体ができなかったら予防としてはあまり意味がないと思うんですけどね」
(中村氏)

 近藤氏はワクチンの効果ではなく、危険性を指摘する。「オランダで、ワクチンを打った群と
打たない群を比較したら、予防効果は全くなかった。その上、60歳ぐらいから、ワクチンを打った群で
急死する人が増える。それを『心筋梗塞のせい』とか言ってごまかしてるけど、ほぼワクチンの副作用
だと考えられます」

 2009年の豚インフルエンザのパンデミックのときは、世界に流通するタミフルの7割が日本に
流れて話題を呼んだ。ヨーロッパでは学者たちが当初から、ワクチンもタミフルも「効果は疑問」と
指摘し、大量に売れ残っていた。

 結局、パンデミックが終わってみると普通のインフルエンザより軽いということがわかった。
「日本人のほとんどは、疑ってみるということをしないから」中村氏は、国民的な右へならえ体質が、
医療のウソを果てしなくのさばらせている原因だともいう。

■大学病院は「いい実験」を受けられる病院
 大学病院、国立がんセンターなど「いい病院」のワナもある。中村氏が言う。「大学病院とか日赤とか
国立がんセンターとか、病院のランクが高ければ高いほど『病気の見逃し』は許されないから、行ったら
徹底的に検査されますよね。当たり前の話だけど、ムダな検査をされる。そして見つけなくていい病気が
見つかったりしてしまう」

 近藤氏はさらに過激だ。「『大学病院はいい病院』じゃなくて『いい実験を受けられる病院』だと
思わないと。実験的なことにすごく力を注ぐようになって、がんという病名がついたらインフォームド
コンセントを徹底してる。すると、新薬の実験がすごくやりやすくなるんです。実験すれば製薬会社
からもお金が入ってくるし、それでいま、大学病院の経営は黒字になってます」

 病院ランキングも、上位の病院ほど治療漬けにされるリスクが大きい、と注意をうながす。「手術も
放射線も抗がん剤もやろう、みたいなことになって、結局どれも必要なかったんじゃないか、患者さんが
苦しんだだけじゃないかっていうケースがすごく多いので、病院ランキングというのはあんまり信用しない
方がいい」(近藤)

どうせ死ぬなら「がん」いい!?(上) 〜がんが痛むは嘘!?〜

 10月9日に発売された宝島社新書『どうせ死ぬなら「がん」がいい』が話題だ。老人ホーム医師で、
ベストセラーとなった『大往生したけりゃ医療とかかわるな』の著者である中村仁一氏と、
『がん放置療法のすすめ』などの著書で従来のがん治療に異論を唱えてきた近藤誠氏が、
がん治療の誤解、医療のウソを語り尽くしている。この著書から“衝撃の内容”の一部を紹介する。

がん

<写真>中村仁一氏(右)と近藤誠氏(左)

■医療は恫喝産業。不安をあおり患者を増やす
 本のなかで中村氏は、医療が“恫喝産業”であると発言している。「医療、教育、宗教は恫喝産業だと
思ってます。恫喝のしかたはいろいろありますよ。『命がどうのこうの』って言われたら、みんな不安に
なりますから。医者は恫喝のしかたがうまいです」

 つまり、医者は医療行為という専門性を盾に“お客”を不安にさせて商売している、というのだ。
近藤氏も「不安産業でもありますよ。不安をあおってファンを増やす」と同調する。その“手口”を中村氏
が明かす。

 「不安をかきたてたら、患者は絶対、来ますからね。『治療しなかったらこうなりますよ』って、
不安がらせるし、脅すし。検診でも人間ドックでもそうでしょ。10項目も受けたら、どっか具合悪いって
言われますよ。基準値そのものが、健康な人が『95%に入る範囲』で、前後の2・5%ずつは、はずれる
んだから。それに加えてさらにいろいろ、見つかるわけだから。

 医者は患者を思考停止させた方が繁栄するから、治療のいい面ばっかり言ってマイナス面は隠して、
洗脳するんですね。検診でなにか見つかった患者が『様子を見ますよ』と言うと、『そんなことをしていて
手遅れになったらどうするんだ』って。結局、自分のやりたい方へ誘導する。自分のすすめる治療の
いいことしか言わなくて、マイナス面は隠すか、小出しにして。だからどうにでもなりますよ。相手は素人
なんだから」

 また近藤氏は、医者のやることはヤクザや強盗より罪が深いとバッサリ。「医者はヤクザよりタチが
悪いんです。ヤクザは素人衆を殺すことはないし、指を詰めさせることもない。強盗だって普通は金を
とるだけだけど、医者の場合は患者を脅迫して、金を払ってもらった上に、身体を不自由にしたり、
死なせちゃったりするわけだから」中村氏は、医療の本質を「博打」と表現する。「医療っていうのは、
命を担保にした博打ですよ。どっちへ転ぶかは医者にもわからないんです。ホントのところ」

■「早期がんを手術で取ったから助かった」の誤り
 「早期発見・早期治療で、がんは治る病気になった」というプロパガンダもウソ八百。近藤氏によれば、
人口に占めるがん死者の割合は、1960年代から変わっていないという。中村氏も「がんの早期発見・
早期治療」に疑問を投げかける。

 「そもそも『早期発見・早期治療』というのは、完治の可能性がある感染症の結核で成功した手法。
がんに対して『早期発見・早期治』という言葉を使うと、早く見つければ完治する、という誤解を与えて
しまいますよね」

 近藤氏は、30 年に及ぶ研究と豊富な臨床経験を基に、がんの早期発見には害しかないと断言する。
「よく『がん検診で早期がんが見つかって、手術できれいに取ってもらったから5年経った今も再発せず
に元気でいる。私はラッキー』という話を聞きますが、本物のがんなら、見つかる以前に転移しています。
なんの害もない『がんもどき』を見つけられ、必要のない手術を受けて臓器を傷つけたのだから、損を
したことになります」

 近藤氏によれば、症状がないのに検診などで見つかったがんはほとんど、大きくならないか消えて
しまう「潜在がん」か、命を奪わない「がんもどき」だというのだ。逆に、本物のがんは必ず転移する、
そしてどんな治療をしても根絶することはできないという。

 また、がんの進行は世間で思われているほど速くなく、近藤氏が診てきた150人の「がん放置患者」
の中には、悪性で進行が速いとされるスキルス胃がんを放置し、普通に仕事を続けて9年生きた
会社社長も。

 「もし身の回りに、今まで元気だったのに、がん手術や抗がん剤治療を受けて3カ月や半年で
死んだ人がいたら、それは治療のせいです。本物のがんにしろ『もどき』にしろ、固形がんは治療を
あせらず様子を見るのが賢明。がんが大きくなって『呼吸がつらい』といった不便が生じるとQOL
(生活の質)が落ちるので、そこで初めて手術で切り取るか、放射線で叩いてもらえばいいんです」
(近藤氏)

■がんが痛むのではなく治療で痛む
 がんはひどく痛む。がんにかかったら、最期まで拷問のような苦しみにうめいて死んでいくしかない−−
たいていの日本人がそう思いこんでいるのではないだろうか。がんが忌み嫌われる最も大きな理由も
ここにある。しかし、治療しなければ痛まないがんが、たくさんあるという。中村氏が実体験を披露している。

 「がんを放置した場合は、ぼくが老人ホームで経験した限りでは、実に穏やかに死んでいきます。
強烈な痛みや苦しみを伴うのはがんのせいじゃなく、治療のせいなんだとよくわかりましたよ」

 近藤氏も不必要な手術、抗がん剤が痛みの原因だと指摘する。「確かに、放置すれば痛まずラクに
死ねるがんは、胃がん、食道がん、肝臓がん、子宮がんなど、少なくないです。たとえ痛みが出ても、
モルヒネや放射線などの治療で苦痛を除くことができます。不必要な手術をしたり、抗がん剤治療を
したりするから、苦しい死、悲惨な死になってしまうんです」

 がん患者が苦しんで死ぬと、医者は近親者に「がんで痛んだ」と説明する。治療で痛んだとは、
決して言わない。そして新しい患者に「がんはこわいから、すぐ治療にとりかかりましょう」。濡れ衣を
着せられて、がんはさぞ迷惑だろう。

中村仁一(なかむら・じんいち)
●1940年生まれ。京都大学医学部卒業。財団法人高雄病院院長、理事長を経て、2000年2月より
社会福祉法人老人ホーム「同和園」附属診療所所長、医師。1996年4月より、市民グループ
「自分の死を考える集い」を主宰。2012年1月に出版した『大往生したけりゃ医療とかかわるな』
(幻冬舎新書)が50万部を超えるベストセラーに。

近藤 誠(こんどう・まこと)
●1948年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部放射線科入局。83年から
同大学医学部放射線科講師。がんの放射線治療を専門とし、乳がんの乳房温存療法を積極的に
すすめる。また、医療の情報公開にも力を注ぐ。『患者よ、がんと闘うな』『がん放置療法のすすめ』
(ともに文藝春秋)ほか著書多数。

竹島への観光船!日本人は乗船できる!?

 韓国の鬱陵島から竹島への観光船が出ている。竹島へ行くには現在、この船に乗るしかない。
領土問題喧しい今、日本人は乗船できるのか。韓国語が話せる記者が行ってみると・・・。

 旅は職務質問から、始まった。韓国南東部の工業都市、浦項(ポハン)。“竹島に一番近い島”
鬱陵島(ウルルンド)へ行く高速フェリーがここから出発する。乗船ゲートの前で、白シャツの男に声を
かけられた。「部屋で話を聞きたい」中には警官もいた。「旅程は?」と韓国語で聞かれた。次の質問が
こうだった。「独島(ドクト)には行きますか?」「そりゃ、行きたいです」「鬱陵島で聞いて下さい」

 その後、2度“職質”を受けた。ジーンズ姿の服装が目立つのだろう。ほかの韓国人観光客は、
ほぼ全員はトレッキングシューズを履いた軽い登山姿だった。3時間30分の航海後、鬱陵島に
着いても“職質”だ。こちらも「何が聞きたいんですか? 独島に行くかどうか?」と噛みついてみる。

 すると、誠実そうな駐在警官が答えた。「違います。竹島は、望むのならば行けます。ここから車で
15分くらい行った、サドンという港から船があります。宿は取っていますか?本当に困ったことが
あればご連絡を」度重なる職質は、一人旅の身には重圧になった。

■「予約がいっぱいなんですよ。今日も、明日も」
 日本人は行けるのか、行けないのか−−あえてこの点は詰めないままに鬱陵島を訪れた。竹島行き
のフェリーの事前予約の連絡を取れば、拒否される心配があった。かつ「日本人が行く」との事前情報
が不利に働くかもしれない。だから、当日の“キャンセル待ち”に賭けた。現場の担当者がその場の
判断で通すことを。

 サドン港に行くタクシーで運転手に「独島に行ったことがあるか」と聞いた。日本人だとは名乗らずに。
「あるよ。観光でな。2〜3時間の周遊コースだ。天気がよければ、島に上陸できる。でも渡し場の設備が
あまり整っていないから、ちょっとでも天気が悪いと周辺から眺めるだけだ」

 カーブの多い凸凹の山道を抜け、海沿いに出た。5分ほど走ると、2階建ての近代的なフェリー
ターミナルが突如現れた。「予約は満杯だろうが一応、乗れるか聞いておいで」ターミナルでは、
14時30分発の乗船手続きが行われていた。

 「キャンセル待ちです」そう言って、日本のパスポートをポンと出す。韓国人も、乗船には身分証明が
必要だ。担当の中年女性は、これに目もくれなかった。「予約がいっぱいなんですよ。今日も、明日も。
もうひとつ船を出している会社があるから、そちらに問い合わせてみてください」出航する船を見送り、
初日のトライを終えた。

■ひとつの船会社は「日本人も行けます」
 10月中旬のこの時期、島は悪天候に見舞われていた。翌日、本土に戻るフェリーを仮予約して
いたが、数日は出航が不安定な状況だった。一方、超人気の竹島便もいつ取れるかわからない。
しかし、あまり長居すると警戒が厳しくなるだろう。明日がキャンセル待ちをする最後の機会だ。
そう判断した。

 朝8時30分の出発時間に合わせて、再びターミナルへ。しかし、雰囲気がおかしい・・・閑散と
している。ターミナルでは中年グループが話をしていた。「悪天候で今日の便はすべて欠航」と言う。
85卆茲楼天候らしい。ここですべてを断念せざるを得なかった。日本人は行けるのだろうか。
最後だ、と思い2つの船会社に電話をしてみた。

・ドルフィン号
「予約は10日以上先まで埋まっています。日本の方は・・・行けるんですが、現地で雰囲気が悪くなる
可能性がありますので・・・」
・独島サラン(愛)号
「1週間すべて満席です。日本の方も行けます」

 領土問題を争う島も、労さえ厭わなければ上陸できる可能性がある。目立たぬよう登山服で行くこと。
ヒゲを剃ること(韓国人にヒゲの男性は少ない)。しっかりとした韓国語を喋り、単独行動を取れること。
連日、キャンセル待ちを繰り返せる時間的余裕。プレッシャーに動じないこと。

 職質だけではない。帰り道、独島に行けたという40代女性からこんな話を聞いた。「行くと、韓国国歌を
歌いたくなると聞いていたんだけど・・・本当だった。みんなで大合唱したのよ」本来的には日本人が
行けない理由はない。あちらが「ごく普通の韓国領土」と主張するのなら。

竹島看板

<写真>韓国本土側の船の出発地、浦項。乗船場近くには竹島との距離を表す看板。

【連載:第2回 その「健康常識」は間違っている!】白砂糖の摂り過ぎは「うつ」を引き起こす!?

 「疲れたときには甘いもので元気に」−−そう思ってはいないだろうか。疲労回復を目的に、
職場で缶コーヒーやチョコレートなどを口にする人も多い。だが、その「糖分」の摂取は疲労回復
どころか健康に逆効果、と説く医師がいる。

 「砂糖は脳のエネルギー」という言葉を見聞きして、実践している人は多いだろう。「甘いものは
脳にいい」という考えは、世の中の「常識」となっているようにみえる。だがそれは「迷信に過ぎない」
と、新宿溝口クリニック院長の溝口徹氏は説く。

 溝口氏は『「うつ」は食べ物が原因だった!』(青春出版社)など多くの著作で知られている。
「砂糖がよい」という「常識」をうのみにするのではなく、疲労を本当に回復させ、仕事のパフォーマンス
を上げるにはどうすればよいのか。甘いものに頼らないための方法も教えてもらった。

■甘いものは、単なる“気付け薬”に過ぎない
 溝口氏によると、「脳がストレスを感じると、大量の栄養素が消費される」という。その栄養素とは
いったいなんなのか。「ストレスで脳が消費するのは、主にタンパク質やビタミンです。意外に感じる方が
多いかもしれませんが『甘いもの』、すなわち砂糖などの糖質、ブドウ糖などではありません。

 私自身も実感したことがありますが、甘いものを食べた直後は、頭が冴え、仕事がはかどるような
“気分”になります。ですがそれは『甘いものを食べることによって、血糖値が上昇し、神経伝達物質の
一時的増加を招くから』で、その場しのぎの応急処置にすぎません。

 専門的な話をすると、やる気のない状態の時は、脳内にセロトニンという神経伝達物質を増やす
ことが有効です。セロトニンの原料はタンパク質、それも動物性タンパク質が効率的だというのが、
最近の定説です。タンパク質とは、肉、魚、卵や豆類を指します」

■血糖値の乱高下こそ疲労のもと
このように、疲れたときに砂糖を摂取しても、失われた栄養素は根本的に補給できない。「そればかり
か、砂糖による弊害に目を向けてほしい」と溝口氏は警告する。

 「砂糖の摂取がよくない大きな理由の一つは、血糖値の上がり方にあります。糖質を食べれば、
血糖値は少なからず上がるものですが、砂糖の場合、その上がり方が1〜2時間のうちに急上昇
するのです。そしてその反動、つまり『揺り戻し』で急降下してしまいます。ひどいときには空腹時の
血糖値の半分以下にまで急降下することもあります。

 なおかつ、急降下している時間帯は、脳が危機感を感じてずっと『甘いものを食べたい』という司令を
出し続けるため、数時間『甘いもの』を欲し続けることになってしまいます。このような状態を低血糖と
呼びますが、低血糖が続くと風邪や肌のトラブルが治りにくいなど、小さな弊害が表れ始めます。

 また血糖値の極端な乱高下は、脳に大きなストレスを与えます。その悪影響として、急激な眠気や
倦怠(けんたい)感、だるさ、イライラ感といった心身の不調が起こるのです。これが、砂糖が本当に
恐ろしい点です」

■心身の様々なトラブルは砂糖断ちで緩和できる!?
 コンビニに行けばスイーツが並び、砂糖の入った缶ジュースや缶コーヒーは自販機で買い放題−−。
こんな状況を溝口氏は「糖質過多の時代」と呼び、警鐘を鳴らしている。

 「多くの女性患者さんたちの代謝を詳しく検査しました。疲れやすかったり、イライラするなど精神的な
不定愁訴(ふていしゅうそ)<原因不明の不調>を抱えたりする人たちの大部分が、脳のエネルギーを
糖質に偏って摂取していることがわかったのです。そこでタンパク質重視の食生活に変えてもらった
ところ、甘いものを食べたいという欲求がなくなり、精神的な不定愁訴が消えたというケースが多く
見られました」

 46歳の男性の血糖値を3日間、連続して測り続けたデータ(表上)がある。確かに、糖質制限弁当の
食後の血糖値はなだらかな推移を示すが、パンなど糖質の摂取後は、血糖値が急上昇している。
また、溝口氏は心の病に悩む多くの患者たちに「砂糖断ち」を指導してきた。その結果、多くのうつ病
患者に、減薬など症状の緩和が見られたという。

 「私は、砂糖を断つことで、うつの症状は緩和される可能性が高いと考えています。精神科で向精神薬
を処方してもらう前に、日常生活で砂糖を断ってみるということをおすすめします」溝口氏によると、
「砂糖断ち生活」は多忙で外食しがちのビジネスパーソンでも十分可能だという。

 「ビーフジャーキー、サラミ、豆類やナッツなど、おつまみコーナーに置いてあるようなものをデスクに
常備すること。どうしても甘いものを食べたいときにはチョコ一かけらを、ゆっくり味わいながら食べ
ましょう。甘いものを摂った気分ができるという逃げ道になります。また、ラカントのような血糖値を
上げにくい甘味を使うのもいい手です。外食する場合は、居酒屋へ。豆や焼き鳥、豆腐、厚焼き玉子
などのタンパク質を摂れば、甘いものをほしくなることもないでしょう」

砂糖

<ライフスタイルごとに異なる栄養必要量>

取材・文/山守麻衣

報道されない「危ない食品」ウラ情報!〜「牛肉」編〜

 食中毒、BSE、食品表示問題…… 「食の安全」にかかわるニュースは、大手メディアがくまなく
報道していると思ったら大きな間違い。我々の健康に関係する重要なニュースが、実はスルー
されている。

牛肉

<写真>『宝島』(11月号)より

■来年から米国産が「規制緩和」 牛肉“危険部位”輸入でBSEの不安
 2001年9月に日本でBSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)感染牛が発見され、日本の牛肉消費
は激減。これを受け、日本では牛のBSE全頭検査体制と異常プリオンが蓄積する危険部位(SRM)
の全月齢牛の全面流通禁止体制が確立された。

 一方、03年12月に米国で初めてBSEが発生し、米国産牛肉は、輸入が全面停止した。「当時、
米国政府は、輸入再開に躍起になり、対日制裁決議案などで報復を示唆したり、米国上院では、
米国産牛肉の輸入が再開されない限り日本産牛肉の輸入を認めない法案を採決したりした。結局、
05年12月に食品安全委員会の答申を受けて、20カ月齢以下の米国産牛肉の輸入再開となりました。
しかし、その直後に危険部位の混入で輸入再停止するなど混乱を極めました」(業界紙記者)

 この月齢制限で、米国産牛肉の輸入量は回復せず、その後も米国政府は、この月齢制限の
撤廃を日本政府に要求し続けた。そして、昨年9月の日米首脳会談でオバマ大統領が野田総理に
直接月齢制限の撤廃を要求。これを受けて、日本政府は、食品安全委員会プリオン専門調査会に
月齢制限と危険部位の見直しを諮問した。

 「今年の1月から審議を開始した食品安全委員会プリオン専門調査会は、8回の審議をへて、
9月に月齢制限を『30カ月齢』にしても、リスクの差は非常に小さく人への影響は無視できる、との
答申を出した。また、危険部位についても全月齢を『30カ月齢超』にしても問題ないとしました。
これにより、来年から30カ月齢以下の米国産牛肉が輸入されるとともに、危険部位も30カ月齢以下の
牛の危険部位が輸入されることになります」(永田町事情通)

■感染経路が不明“非定型”タイプ
 これで、米国産牛肉を安心して食べることができるのだろうか。「今年の4月、米国でBSE感染牛が
発見され、食品安全委員会にも衝撃を与えた。米国では依然として、BSE感染牛が存在しているの
です。この米国で発見されたBSE感染牛は、従来の異常プリオンを含んだ飼料を食べて感染する
従来型のBSE感染牛ではなく、異常プリオンの性状が異なる感染経路が不明なタイプの、非定型
タイプといわれるBSE感染牛でした。この非定型BSE感染牛も人に感染することが明らかになって
います。

 日本でも全頭検査の中で、この非定型BSE感染牛が発見されています。それも23カ月齢という
若い牛からです。ですから、月齢制限を30カ月に引き上げるとこのような若い牛の非定型BSE感染牛
を排除することが出来ません」(同前)

 世界的には、この非定型BSE感染牛の実態はわかっていないという。プリオン専門調査会でも次の
ように指摘されている。<OIE( 国際獣疫事務局)は、定型と非定型を区別して報告することを求めて
いないため、現時点では、世界的な非定型BSEの発生頻度・分布についても不明である。また、
非定型BSEの発生原因の詳細は不明>(「プリオン評価書案」より)

 また、今回の答申によって、現在牛の全月齢で異常プリオンが蓄積する危険部位<頭部、
脊髄(せきずい)、脊柱>の流通が禁止されているものが、30カ月齢以下の牛であれば、危険部位の
輸入もOKとなる。牛の脳や眼球、脊髄など、それ自身を調理して食べる場合もあるが、加工流通
することもある。

 「この点では、警告を発している論文がプリオン専門調査会で紹介され、論議を呼びました。それは
56頭の子牛に異常プリオンに感染した脳を経口投与する実験で、投与後28カ月目に延髄かんぬき部に
異常プリオンが見つかり、されに16 カ月目と、20カ月目に交感神経系と副交感神経系の神経節に
一過性の感染性が認められたというものです。プリオン専門調査会では、投与量が100グラムと多い
ので問題ないとされましたが、十分な審議がなされたとはいえません」(同前)

■20〜30カ月齢のBSE 発生率はゼロではない
 プリオン専門調査会の専門委員からも次のような意見が表明されている。<人のプリオン病の
診療に携わる立場から見ますと、おそらく問題は、わが国で、孤発性(孤立して発症=感染ではない)
にも出現しうると考えられている非定型BSEを含め、BSEが21、23カ月齢で確認されているということ
だと思います。脳や脊髄がSRMの対象から外れた場合、脳や脊髄を食べるような嗜好をもつヒトは
どうかということが問題になります。20〜30カ月齢のBSE発生率は非常に低いですが、ゼロとは
いえません>(第74回プリオン専門調査会机上配布資料より)

BSE対策として飼料規制は、世界的にも徹底されてきていることにより、BSE感染牛の発生率が
減少している。しかし、非定型BSEについては実態がわかっていないのだ。「米国では、牛の
トレーサビリティシステムが導入されておらず、また、日本では、自主的全頭検査をしているのに
対して米国では牛のBSEサーベーランス検査も検査率は、OIE基準をクリアしているといっても0・1%に
すぎません。また、飼料規制も09年に強化されたばかりで、その内容も日本と比べると弱い。決して
米国産牛肉の安全安心が確立されているわけではありません」(同前)

 イギリスで176人もの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者(全員死亡)を発生させたのは、当時の
英国で科学者がBSEは人には感染しないとの見解を取りまとめ、英国政府が有効なBSE対策を
とらなかったからだ。食品安全委員会の今回の判断は、正しいといえるのだろうか。
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