大量の橋下チルドレンたちが誕生した。果たしてどのような人物たちがどんな志で集まっているのか?
◆集まった2024人の志とは?
維新政治塾。現大阪市長の橋下徹さんが代表を務める地域政党「大阪維新の会」が主宰する、いわゆる政治家養成スクールである。予想されている年内の解散総選挙に向け、国会議員候補となる“橋下チルドレン”を育てようという狙いがある。
大阪市内で3月24日、政治塾の開講式が開かれた。ここへの参加が許されたのは書類選考をパスした2024人。大半は男性だが、女性も2割ほどはいた。年齢は約7割が30代と40代。ごく少数ながら60代、70代の高齢者も見受けられた。
職業も様々だ。会社員に公務員、医師や税理士、また現役の県会議員や市町村議員もいた。なかには政治塾に入るため自民党を離党した地方議員までいたから驚きである。 彼らに政治塾の門を叩いた理由を尋ねた。
「もちろん国会議員になるためです。議員になって橋下さんと一緒に日本を変えたい。政治なんて遠い世界のことと思っていましたが、自分がやらなければと橋下さんの言葉を聞いて考えが変わりました」(自営業の30代男性)
「政治塾で学ぶ以上、国会議員を目指します。橋下さんが言う『決定できる民主主義』の実現に向けて尽力したい」(40代会社員の男性)
私が話をした十数人の参加者たちは、ほとんどが同じ意見だった。むろん全員が橋下さんシンパ。なかには
「議員は目指しません。橋下さんの政治哲学を身近で学べるだけで満足です」(50代女性)
という回答もあったが、大半は国会議員になるという“野心”を秘めていた。維新の会にとって幸いなことに、ここをハローワークと勘違いするような粗忽者は皆無のようだった。
◆カネは必要条件! 素養は十分条件!
とは言え、野心はあっても理想と現実は違う。「供託金や選挙資金で約1千万円は必要だが、自己負担できるのか」と質問してみると、可能と答えたのは2人。残りは「なんとかする」と希望的観測を述べるにとどめていた。
全参加者のうち、選挙資金を自前で用意できるのは、おそらく2、3割だと予想する。 しかし、カネはあっても政治家に必要な法律的な素養や交渉術、政治的センスなどがわずか月2回の講義で磨かれるのかというと、それは難しい。
政治を学ぶには政治家の近くで雑巾がけからスタートしたほうが数百倍も効率的だ。かりに維新政治塾で1年間学んだところで、お勉強会の域を出ないだろう。天才的な政治家と言われる橋下さんでさえ、約4年間の府知事経験があればこそである。
◆チルドレンたちが直面する厳しい現実
だが、維新の会にとってはそれでも構わない。なぜなら、国政版維新の会の主要メンバーは、水面下で一本釣りした国会議員経験者で占められるからだ。現実に、その動きもある。そうでなければ、海千山千の国会を泳ぎきるのは不可能。対立政党や霞が関官僚と互角にわたり合うなど、夢のまた夢である。
つまり、その他大勢の橋下チルドレンは数合わせの駒。入学金や授業料を支払ってくれる、ありがたい“お客様”でしかない。 むろんチルドレンの中には将来、大物政治家に化ける人物がいるかもしれない。が、小泉チルドレンや小沢ガールズの事例からも推察できるように、あくまでも例外だろう。
昨日の友も明日は敵。そんな落とし穴だらけの政治の世界。その厳しさは国会だけではなく、すでに維新政治塾のなかにも非情な動きが渦巻いていることを、塾生たちは覚悟したほうがいい。
◆集まった2024人の志とは?
維新政治塾。現大阪市長の橋下徹さんが代表を務める地域政党「大阪維新の会」が主宰する、いわゆる政治家養成スクールである。予想されている年内の解散総選挙に向け、国会議員候補となる“橋下チルドレン”を育てようという狙いがある。
大阪市内で3月24日、政治塾の開講式が開かれた。ここへの参加が許されたのは書類選考をパスした2024人。大半は男性だが、女性も2割ほどはいた。年齢は約7割が30代と40代。ごく少数ながら60代、70代の高齢者も見受けられた。
職業も様々だ。会社員に公務員、医師や税理士、また現役の県会議員や市町村議員もいた。なかには政治塾に入るため自民党を離党した地方議員までいたから驚きである。 彼らに政治塾の門を叩いた理由を尋ねた。
「もちろん国会議員になるためです。議員になって橋下さんと一緒に日本を変えたい。政治なんて遠い世界のことと思っていましたが、自分がやらなければと橋下さんの言葉を聞いて考えが変わりました」(自営業の30代男性)
「政治塾で学ぶ以上、国会議員を目指します。橋下さんが言う『決定できる民主主義』の実現に向けて尽力したい」(40代会社員の男性)
私が話をした十数人の参加者たちは、ほとんどが同じ意見だった。むろん全員が橋下さんシンパ。なかには
「議員は目指しません。橋下さんの政治哲学を身近で学べるだけで満足です」(50代女性)
という回答もあったが、大半は国会議員になるという“野心”を秘めていた。維新の会にとって幸いなことに、ここをハローワークと勘違いするような粗忽者は皆無のようだった。
◆カネは必要条件! 素養は十分条件!
とは言え、野心はあっても理想と現実は違う。「供託金や選挙資金で約1千万円は必要だが、自己負担できるのか」と質問してみると、可能と答えたのは2人。残りは「なんとかする」と希望的観測を述べるにとどめていた。
全参加者のうち、選挙資金を自前で用意できるのは、おそらく2、3割だと予想する。 しかし、カネはあっても政治家に必要な法律的な素養や交渉術、政治的センスなどがわずか月2回の講義で磨かれるのかというと、それは難しい。
政治を学ぶには政治家の近くで雑巾がけからスタートしたほうが数百倍も効率的だ。かりに維新政治塾で1年間学んだところで、お勉強会の域を出ないだろう。天才的な政治家と言われる橋下さんでさえ、約4年間の府知事経験があればこそである。
◆チルドレンたちが直面する厳しい現実
だが、維新の会にとってはそれでも構わない。なぜなら、国政版維新の会の主要メンバーは、水面下で一本釣りした国会議員経験者で占められるからだ。現実に、その動きもある。そうでなければ、海千山千の国会を泳ぎきるのは不可能。対立政党や霞が関官僚と互角にわたり合うなど、夢のまた夢である。
つまり、その他大勢の橋下チルドレンは数合わせの駒。入学金や授業料を支払ってくれる、ありがたい“お客様”でしかない。 むろんチルドレンの中には将来、大物政治家に化ける人物がいるかもしれない。が、小泉チルドレンや小沢ガールズの事例からも推察できるように、あくまでも例外だろう。
昨日の友も明日は敵。そんな落とし穴だらけの政治の世界。その厳しさは国会だけではなく、すでに維新政治塾のなかにも非情な動きが渦巻いていることを、塾生たちは覚悟したほうがいい。