若者を中心とした消費者の“魚離れ”が深刻化している。2009年の国の調査によると、日本人の1日あたりの魚介類摂取量は、10年間で2割以上減っており、漁業関係者は頭を悩ませている。魚が不人気な要因として、「調理が面倒」「小骨があって食べにくい」といったことが挙げられるが、見逃せないのが魚特有の“生臭さ”だ。そこで、今注目されているのが、生臭さがないという「フルーツ魚」。魚人気復活の切り札として期待されている。
<「みかんブリ」は食べるとほんのり柑橘系の香りがするという>
フルーツ魚とは、柑橘類、オリーブなどの果物を与えられた養殖魚のこと。時間が経っても魚肉が変色しにくく、生臭くないどころか、なんと食べるとほのかにフルーツの香りまでする。
こうした特徴は、魚の体内に蓄積された果物の成分の働きによるものだと考えられている。高知大学と鹿児島県の漁協が協力して、2007年に発売した「柚子鰤王」が、フルーツ魚の元祖といわれている。今では「かぼすヒラメ」(大分県)、「ゆずかんぱち」(高知県)など、各地域の特産品をエサにしたブランド魚も続々と登場している。
そんななか、12年4月にデビューし、話題となっているのが愛媛県の「みかんブリ」。愛媛県の水産試験場が、特産のみかんジュースの搾りかすをエサに混ぜて魚を養殖してみたのが、開発のきっかけになった。
ブリは5キロになるまで育てるのに通常約2年かかるが、みかんブリは出荷2カ月前からみかんを与えるという。「ふつうの養殖ブリを口に入れると生臭さが残ります。これは後からレモン汁などを加えても消せませんが、みかんブリには生臭さがもともとありません」と、みかんブリを販売する宇和島プロジェクトの木和田権一社長は話す。
価格はふつうの養殖ブリよりも高めだが、「生臭さが苦手な女性の方やお子さんにも好評です」と木和田さん。12年の出荷量は約7万尾、13年は10万尾の出荷を目指す。
一部の寿司店チェーンのフェアで食べられるほか、百貨店の通販(期間限定)などでも入手できるという。姉妹ブランド魚の「みかん鯛」も人気上昇中とか。
<みかんが入った固形飼料>
(文/野澤正毅)
<「みかんブリ」は食べるとほんのり柑橘系の香りがするという>
フルーツ魚とは、柑橘類、オリーブなどの果物を与えられた養殖魚のこと。時間が経っても魚肉が変色しにくく、生臭くないどころか、なんと食べるとほのかにフルーツの香りまでする。
こうした特徴は、魚の体内に蓄積された果物の成分の働きによるものだと考えられている。高知大学と鹿児島県の漁協が協力して、2007年に発売した「柚子鰤王」が、フルーツ魚の元祖といわれている。今では「かぼすヒラメ」(大分県)、「ゆずかんぱち」(高知県)など、各地域の特産品をエサにしたブランド魚も続々と登場している。
そんななか、12年4月にデビューし、話題となっているのが愛媛県の「みかんブリ」。愛媛県の水産試験場が、特産のみかんジュースの搾りかすをエサに混ぜて魚を養殖してみたのが、開発のきっかけになった。
ブリは5キロになるまで育てるのに通常約2年かかるが、みかんブリは出荷2カ月前からみかんを与えるという。「ふつうの養殖ブリを口に入れると生臭さが残ります。これは後からレモン汁などを加えても消せませんが、みかんブリには生臭さがもともとありません」と、みかんブリを販売する宇和島プロジェクトの木和田権一社長は話す。
価格はふつうの養殖ブリよりも高めだが、「生臭さが苦手な女性の方やお子さんにも好評です」と木和田さん。12年の出荷量は約7万尾、13年は10万尾の出荷を目指す。
一部の寿司店チェーンのフェアで食べられるほか、百貨店の通販(期間限定)などでも入手できるという。姉妹ブランド魚の「みかん鯛」も人気上昇中とか。
<みかんが入った固形飼料>
(文/野澤正毅)