■「混ぜる」が基本 コメの偽装法
 世の中には「1文字で大違い」という似て非なるものの実例がゴマンとあるが、
コメの世界でもそんな両者が存在する。 それが「ブランド米」と「ブレンド米」だ。
これが一緒になったら笑い話・・・だがその笑い話が最近、世の中を駆け巡った。

 今年5月、豊島区の精米店社長が、「コシヒカリ」「あさひの夢」「朝の光」という3種類のコメを
混ぜたブレンド米を、宮城県産のブランド米「ひとめぼれ」100%のシールを貼って販売した
容疑で警視庁に書類送検された。

 「この精米店社長は戦後60年に渡って続く老舗でしたが、社長は何十年も同様の手法を
使ったと告白し、業界に重苦しい雰囲気が漂っています。味が変わったことがバレないよう、
半分以上は本当のブランド米を入れたり、出荷先をクレームの入りにくい老人ホームなど厳選。
工夫していたからこそこれだけ細く長く続いたのでしょう」(全国紙記者)

 もっとも、それにはセンスも必要なようで、同じく今年4月に逮捕された大阪の米穀販売会社
「ライスネットワーク」の場合、バレそうもないだろうと思った陸上自衛隊の大久保駐屯地(京都府)に
ニセブランド米を納入したところ、意外にもライスの味に敏感な隊員に通報され、めでたく御用となった。

 コメの偽装の定番と言えば「混ぜる」だが、それにはさまざまな狙いがあって、少しだけでも
得をしたいというセコイ動機から、売れない事故米を処理したいといった悪質なケースもある。
そして、全国にはこの「ニセブレンド米」をこっそりアシストする、暴力団とも親密な裏業者が存在する。

 「彼らの仕事は偽装パッケージの製造と流通ルートの指南、確保。彼らのトレンドはいま、
ネット販売です。ネットで業務用米穀を購入する層は、必ず価格比較をすることから、同じ条件で
最安値の商品を用意すれば、そこに注文が集中する。しかも商品は配達されるまで確認される
ことはない。複数原料米なら安く販売できるわけで“ネットだからこそ実現した驚きの価格!”
などと煽り、相当怪しいコメを捌いている業者が多数存在します」(同)
この世界、信用できたものではない。

取材・文/斎藤洋一 吉野浩太郎

米
<写真>偽装ブランド米に使用された米袋