週刊誌の新聞や中吊りの広告を見ていると、「熟年向けセックス特集」が、手を変え品を買え、
毎号のように組まれている。週刊現代(講談社)と週刊ポスト(小学館)が競い合っているかの
ようなのだ。いったいその裏にどんな事情があるのか、探ってみた。

■風俗街の早朝割引に行列!
 欲望の尽き果てることのない団塊世代。最近、風俗街でもリタイアした高齢者たちが
早朝割引目当てで列を作っているという光景が見られるという。都内のデリバリーヘルスに
勤めるA子さん(27歳)はこう話す。

 「うちの店にも70代の男性で毎日来ている人がいますよ。来るのは決まって昼間。
毎日違う女の子を指名しているから飽きないみたい。たぶん、在籍している子全員と
プレイしたんじゃないかな」

 また別の店に勤務するBさん(32歳)も、最近は客の年齢層が上がってきていると話す。
「ちょっと前は営業の途中とか、昼間でも若い人が多かったんですけど、今はオヤジばっかり。
でも、60歳以上の人ってお金持ってるからプレイも120分とか長めの時間を指定してくれるんですよ。
若い人はとりあえず抜けばいいって感じだからプレイ時間は短いし、こっちも慌ただしいけど、
オジサンたちはお話したりするからゆっくりでこっちも楽ですよ」

 Bさんは風俗経験5年目だが、印象的な70代の男性がいたと言う。
「うちで取れる最大の7時間コースを取ってくれて、何をするのかと思ったら、近所の
アダルトショップにおもちゃを一緒に買いに行って、ホテルに着いたら、自分で買ってきた
下着に着替えさせられました。そしてずーっとお話をしながらお酒タイム。向こうはほとんど
飲みませんが、私にはガンガン進めてくるんです。お酒を飲めばトイレに行きたくなるでしょ。
でもね、そのオジサン、おしっこを漏らすところ見るのが目的らしくてトイレに行かせてくれない。
我慢して我慢して漏らすでしょ。『我慢してる時の苦しそうな顔と、漏らした時の
恥ずかしそうな顔がたまらん』って満足そうに帰っていきましたよ(笑)」

■「相手を喜ばせたい」
 『週刊現代』のセックス特集でも識者として登場し、風俗店での勤務経験もあるラブセラピストの
naomiさんも「お金を墓場には持っていけないって感じた時、団塊世代がすることは
『女の子にお金を使う』ことなんじゃないでしょうか」と話す。

 「自分が気持ちよくなるよりも、相手を喜ばせたいと思う気持ちが強いから、女の子の気持ちを
優先してくれる。20〜30代は『金払ってるんだから当然だろ』という感じだからプレイ中も
まぐろがほとんどですが、団塊世代は「女の子」として大事に扱ってくれる。風俗にも疑似恋愛を
求めているし、イカせてぐったりしているのを見るのが快感という。だからあの手この手で
女性が快楽に溺れているところを見ようとするんですよ。ハタから見れば欲望丸出しなのかも
しれませんが、女性は守るべき存在だっていう考えが根底にあるから、基本的に優しいんですよね」

 ただし一方で、団塊世代がネット詐欺などにカモにされる例も増えているという。
「『出会い系サイトで騙された』『婚活パーティで詐欺にあった』という電話も編集部によく
かかってくるようです。出会いのために突っ走った結果、ネット詐欺のようなものに免疫がなく、
怪しいものを見抜けないオーバー60が悪質業者にカモにされているのかもしれません」
(前出ライター)

 昨年、婚活サイトで知り合った3人が不審死を遂げた事件も世間の話題をさらったが、
こうならないためにも指南書は必要だとnaomiさんは分析する。

 「これまで老人はセックスしちゃいけないんじゃないかという考えがあって、自分自身の欲望を
必死に抑えていたと思うんです。でもそうじゃないってわかってきた今、詐欺などに遭わないため
にもこうしたお手本になるものは必要不可欠になってくるのではないでしょうか。セックスって
やっぱり男の自信だと思いますから、正しい知識で生涯性を楽しんでもらいたいですね」

取材・文/大朋理人 イラスト/YAGI