「千両役者」とは元来、江戸時代の売れっ子歌舞伎役者を指した言葉で「年に千両を稼ぐ役者」
との意味。現代の貨幣価値に換算して1両はおおよそ10万円、つまり千両=約1億円の年収と
いうことになる。果たして平成の梨園に千両役者はいるのか?

 最後に発表された2004年の長者番付では、歌舞伎界でトップだった市川海老蔵の納税額が
4970万円で推定年収1億4100万円。次いで松本幸四郎が推定年収1億1800万円で、
この2人だけが年収1億超え。言葉本来の意味での“千両役者”であった。

 「歌舞伎役者のほぼ全員は松竹と専属契約をしていて、ギャラも松竹から支払われます。
主な収入源は歌舞伎やその他演劇公演、映画やテレビ、CM、イベント等への出演料になります。
看板クラスの役者が1回の歌舞伎公演に出演した際のギャラは、公式発表されていませんが、
関係者たちの話によればだいたい500〜700万円が相場とされています。公演期間は1カ月弱
ですから日当にして20万円前後といったところ。尾上菊五郎などの人間国宝クラスの役者になると
1日の出演料は50万円あたりまではねあがりますが、その分毎日の出演ではなく特別出演
という形を取ったりもします」(演劇評論家)

■タニマチのご祝儀 人気役者は「億」単位
 しかし、これらはあくまでも表の数字だという。「先日亡くなった中村勘三郎さんの脱税が
07年に発覚したことがありましたが、その際の国税庁の発表によれば所得隠しが2000万円に
申告漏れが7000万円。これは主に襲名披露興行のご祝儀収入などによるもので、他にも
後援会によるチケット販売手数料の所得隠しを指摘されました」(芸能記者)

 歌舞伎役者の後援会は、いわゆるタレントのファンクラブなどとは違って文字通り“後援者”の
集まりであり、公演時には高額な席のチケットを大口購入もするし、折々にはタニマチとして
相当な額の祝儀をはずむことにもなる。
「勘三郎さんのような人気役者となれば後援者の数も多いだけに、ご祝儀の類は年間で億の
単位に届くのではないでしょうか?」(前出・演劇評論家)

 なお先の海老蔵は、実父・團十郎さんの死により約10億円の借金を相続することになったと
いわれるが、これは團十郎さんが保証人になっていた妻の父(海老蔵の祖父)の不動産取引の
失敗によるもの。

 「その肩代わりは松竹がしていますから借金苦というほどではありませんが、それでも今後
これは支払い続けなければならない。小林麻央との結婚披露宴費用の総額が5億円ということで
話題になりましたが、これも支払いは中継した日本テレビによるもので、海老蔵自身にそこまでの
財力はありません」(前出・芸能記者)
歌舞伎界きっての有名役者である海老蔵だが、その懐具合はさほど芳しくないようだ。

歌舞伎
<収入は人気に比例する>