過熱気味だった「お受験ブーム」から、ステータスとしての「教育」へ。子どもの憧れや
親の見栄を狙って、タレント斡旋まで含んだ新たな教育ビジネスが生まれている!
監督省庁未定、幼児園」の正体とは? 親はいったいいくら「投資」したのか?

■お受験ブームはもう過去の話!?
 言語教育は幼児教育で花盛り。もはや「お受験」では飽きたらず、我が子にさらなる華を
添えたい、という親の意向に沿った教育ビジネスが活発だという。
「いま、お受験よりも外国語修得や学校教育に組み込まれたダンスなど他のエデュケーション・
ステータスが欲しい親御さんが増えてきてます」

 こう語るのは教育ビジネス・コンサルタントの下妻直樹さん。そのニーズをとらえた「幼児園」
という新しいビジネスができているというのだ。
「保育園や幼稚園はそれぞれ厚生労働省や文科省の管轄で、福祉と教育に分岐しています。
幼児園はこの二つと違って、高度な教育を売りにしている。だから幼児園関係者は認可事業
として早く国に認めてほしいようですね。親御さんも国のお墨付きが欲しいでしょうし」

 新しい〈幼児園〉という教育ビジネスとは?じつはそこにも陥穽(かんせい)があると下妻さんは
警告する。「事業自体が認可を得てないから、怪しい業者が付け入る隙(すき)があるんです。
だからブームに踊らされず、保護者は入園までにちゃんと調べてほしい」

■「タレント育成」の甘い勧誘に泣かされた
 「音楽系や体育知育の系列というんで入れました。お恥ずかしい話、そこでタレントに
ならないかと娘が誘われた。芦田愛菜ちゃんに憧れてるから、その夜ははしゃいじゃって」
無認可幼児教育団体に通っていた主婦Rさんがそう漏らす。娘を思う心半分、セレブに憧れる
女心半分で園職員と相談。特別紹介料を要求もされず、ダンスと歌と言語のプログラム
月4万2000円を加算された。

 「月謝が11万円ほどなので3年間で396万円です。おやつ代は5000円で3年間で18万円。
教材費や必要な用具費などいろいろ足すと20万くらい。入園料ですか?16万です。
特別プログラムの費用が2年半で126万円」

 Rさんの出費は延長保育料も含めると総額約700万円となっていた。かなりな出費は覚悟の上
だったという。しかし、修了したものの約束のタレント事務所への紹介はない。そのことを訴えると
「突出した才能ではなかった」とすげない返事。年収450万のRさん母子は泣き寝入りするしか
なかった。「スーパー児童育成」に期待したが結果は普通の女の子へ。親子の夢をカネに変えて
吸い上げるのが教育なわけ?前述の下妻さんは苦々しげに結ぶ。

 「そういった事例は増えつつあります。監督省庁がないということで、甘い蜜で誘い、
ぼろ儲けを企(たくら)む業者がいる。困るのはけっこう、大手の音楽教育や体操教室運営元が
乗せられていること。調べても『有名なところが支援団体なんだ』と安心させるようなことをいう。
口コミや配布資料だけでなく、公的機関や卒園者などへも問い合わせすることですね」

取材・岸川真 イラスト・なかやましげこ

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