一流店なら1万円は下らない高級料理を、数分の一の値段で味わえると有名になった
「高級立ち飲み居酒屋」。その旗頭であるバリュークリエイトが、「俺のイタリアン」(イタリア料理)、
「俺のフレンチ」(フランス料理)に続き、市場規模の大きい和食に食指を伸ばしはじめた。

 同グループは、すでに高級和食店を数店舗運営している。低価格業態として、2011年12月には
ブランド牛にこだわった「俺の焼肉屋」、今年1月には純鶏を使った「俺のやきとり」の第1号店を、
それぞれ東京・蒲田に出店した。

 さらに、今年2月には「俺の割烹(かっぽう)」の第1号店を福岡・博多に、3月には銀座本店
(東京)を相次いでオープン、高級和食立ち飲みのチェーン展開にも乗り出した。
「目標は“高級割烹の価格破壊”。当面は都心での多店舗化を図り、ゆくゆくは
米国・ニューヨーク進出も視野に入れています」と、広報担当の徳永三貴さんは説明する。

 銀座本店は、2フロア60坪弱で約100人を収容。座席(33人分)もある2階では、ジャズの
生演奏も聴けるという。メニューは50〜60種類で、例えば、イセエビを1尾丸ごと使った「煎り出し」が、
たったの1280円で賞味できる。12人いる料理人は、例えば「菊乃井」元料理長といった逸材で、
腕前は折紙つき。ワイン約30種類、日本酒約40種類を揃え、ソムリエがサービスしてくれる。

 激安の秘密は、立ち飲みならではの坪効率の高さ。平均客単価(食事)は4000円弱、
原価率は約60%(外食は一般に約30%)だが、顧客の平均滞在時間は約2時間なので、
通常の料亭の約2倍、2回転する。それゆえ採算が取れるのだ。

 「また、高級食材を産直で買い付けるなど、独自ルートで仕入れ価格を抑えています」(徳永さん)。
高級料亭は一般庶民には敷居が高かったが、これからは、高級立ち飲みで気軽に料亭の味を
堪能できそうだ。

文/野澤正毅

料亭
看板メニューのひとつ「伊勢海老の煎り出し」