■“ヒゲ”に“ハゲ” オヤジ化女子急増中!?
「カレがキスしてくれないから理由を聞いたら、私の口臭がキツイって。
そういえば、最近自分の枕から父親臭がするのも気になってたんだよね・・・」
そう話すA子さん(37歳・メーカー営業)は、オンナなのに加齢臭!?・・・とひどく落ち込んだという。
しかも、よく聞いてみれば最近抜け毛も激しいとか。ちょっと待った。
加齢+オス化=完全にオヤジ化では!?
ところがこれは少しも特殊な例ではないらしい。いまや身体的変化に戸惑うアラフォー女子が
急増中という。オヤジのような言動をする“オヤジギャル”が流行したのは20年以上も前のこと。
あれから時を経て、アラフォー女子は言動のみならず、体までオヤジ化し始めてしまったのだ。
上々の視聴率でスタートした篠原涼子主演のドラマ『ラスト・シンデレラ』(フジテレビ)は、
篠原演じるアラフォー美容師のアゴに太いヒゲが生えるという衝撃のシーンから始まった。
“ドラマはすぐ強調するから”・・・なんて思っていたら大間違い。刃物や剃刀を販売する貝印が
昨年行った調査では70・6%の女性がアゴや鼻の下のヒゲを処理していると回答。草食系男子や
乙男(オトメン)(乙女的な趣味を持つ男子)など、男性の物腰がどんどん柔らかくなっていく一方で、
なぜ女性の体はオヤジ化してきているのだろうか。
「現代は女性にとってストレスが多い社会。会社では男性と同等に働き、同時に家庭では家事や
子育てに追われる。親戚やママ友、ご近所とのつき合いにも気を使わなければならないなど、
女性がさらされるストレスは本当に多様。体のオヤジ化に悩んで受診される方はみなさん共通して、
過度なストレスを抱えています」
と話すのは、女性のトータルエイジングケアを行う、成城松村クリニック院長の松村圭子先生だ。
「クリニックを訪れる患者さんはここ数年で顕著に増えています。ただそれは症状を自覚したり、
周囲から体や言動の変化を指摘されたりして来院される方々。自分では気がついていないだけで、
実はオヤジ化している潜在層はもっと多いと思いますよ」
自覚症状で多いのは、ドラマでも描かれていた男性のような太いヒゲのほか、ひどい抜け毛で
額が広くなったり全体に髪が薄くなる。そのほか口臭や体臭がきつくなる、体毛、特にヘソの下、
いわゆる“ギャランドゥ”が濃くなるなど、考えるだけでも恐ろしい症状ばかりだ。ひどい場合、
月経が止まる人もいるという。体臭や口臭の変化は、身近な人から指摘されるケースもある。
自分で臭いを感じる頃には、周囲はすでに気づいているかもしれないから、特に注意が必要だ。
■専業主婦や肉食女子にもオヤジ化の可能性はある
男性と同等に働いている女性の中には、体はもちろん振る舞いがオヤジ化している人も
目立つ。松村先生によると、これも男性ホルモンの影響だという。
「もちろん本人の性格によってもともと女性らしいか否かはありますが、言動が以前と比べて
極端に大雑把になってきた場合は、環境というより、ホルモンバランスの影響が大きいでしょう。
女性ホルモンが減少すると肌や髪の毛がボロボロになりますが、それを気にしなくなってしまうのも
また、男性ホルモンが活発化しているためといえます」
男性社会でバリバリ働いているわけではない女性なら、自分には関係ないと思うかもしれない。
しかし、ストレスの具体的な内容まで脳は区別しないので、働いている女性に限った話ではない
という。例えば子育て中の専業主婦でも、ママ友や嫁姑問題などで過剰なストレスにさらされると、
自律神経やホルモンバランスが乱れてオヤジ化する可能性は十分にあるから要注意だ。
「うちのママはおヒゲが生えてるよ」なんて子どもに言われる事態もあり得るわけである。
また、男性ホルモンが優位になると性欲が増してくるので、オヤジ化と同時にムラムラし始めた
という女性も多い。そもそも女性ホルモンが減り始めるアラフォー女子はそれまでより性欲が
増して、思春期の男子と変わらないくらい旺盛といわれている。
「仕事のストレスは多いけど、定期的にセックスしているから、オヤジ化とは無縁ね」
と思う人もいるかもしれないが、
「性行為そのものが直接女性ホルモンを増やすわけではありません。心が満たされる充実した
セックスなら自律神経やホルモンバランスが整いますが、性欲を満たすためだけの相手と
体だけの関係を持っても、逆にストレスになってしまいます」(松村先生)
いつまでもモテたいという気持ちを持って身だしなみや振る舞いに気を使うことは良いこと
だが、モテたいという焦りがストレスになったり、愛を感じないむなしいセックスを続けていると、
オヤジ化は悪化してしまうという。オヤジ化女子は奥深い問題なのだ。
■生活習慣の改善が一番の治療法
では、オヤジ化してしまった体は、もう女性には戻れないのか。
「生活習慣を改善するだけでも体は元に戻ります。ヒゲも、産毛に戻りますから安心してください」
と松村先生は言う。
ホルモンバランスを整えるためにピルを使った治療や、血流を良くする漢方治療もあるが、
まずは生活習慣を見直すことが肝心。質の良い睡眠やバランスの良い食事を規則正しくとること、
必要以上にテレビやパソコン、携帯電話を使用せずアナログな時間を持つこと、ゆっくりと
バスタブに漬かること、朝はバナナ1本でもいいので必ず食べること・・・など、ひと昔前のような
“普通の生活”が、ストレス解消の基本なのだ。
さらに、「寝る時はパジャマを着ましょう。ジャージやスウェットではダメ。寝返りや血流を
邪魔しない格好が快適な睡眠を促しますよ。それから休日の寝だめも良くありません。
日曜の夕方にブルーな気持ちになるのは、明日から仕事だからだけではなく、実は軽い
時差ボケを起こしているからなんです。休日でもせいぜい1時間長く寝る程度が限度」
と松村先生は話す。
男性から「かわいいね」「キレイだね」と声をかけてもらうのは、直接的な効果はないが、
気分が和らいだり、身だしなみを整えたりするきっかけになるのなら、言われないよりは
ずっと良いそうだ。治療をすれば最低でも3カ月程度でヒゲが産毛に戻り、抜け毛も減って、
振る舞いも変わってくるという。
「もともとサバサバした性格の人が突然しおらしくなるわけではありませんけどね(笑)。
自律神経やホルモンバランスが整えば、体も心も元の状態に戻ります」(松村先生)
忙しくてクリニックに行く時間がない、規則正しくなんて過ごせないなどと言っている場合ではない。
思いあたる人は、まずは生活を見直さないと、明日の朝には黒々としたヒゲを発見してしまうかも
しれない。
取材・文/阿部彩子、オフィス三銃士
<オヤジ化を食い止める改善リスト>
「カレがキスしてくれないから理由を聞いたら、私の口臭がキツイって。
そういえば、最近自分の枕から父親臭がするのも気になってたんだよね・・・」
そう話すA子さん(37歳・メーカー営業)は、オンナなのに加齢臭!?・・・とひどく落ち込んだという。
しかも、よく聞いてみれば最近抜け毛も激しいとか。ちょっと待った。
加齢+オス化=完全にオヤジ化では!?
ところがこれは少しも特殊な例ではないらしい。いまや身体的変化に戸惑うアラフォー女子が
急増中という。オヤジのような言動をする“オヤジギャル”が流行したのは20年以上も前のこと。
あれから時を経て、アラフォー女子は言動のみならず、体までオヤジ化し始めてしまったのだ。
上々の視聴率でスタートした篠原涼子主演のドラマ『ラスト・シンデレラ』(フジテレビ)は、
篠原演じるアラフォー美容師のアゴに太いヒゲが生えるという衝撃のシーンから始まった。
“ドラマはすぐ強調するから”・・・なんて思っていたら大間違い。刃物や剃刀を販売する貝印が
昨年行った調査では70・6%の女性がアゴや鼻の下のヒゲを処理していると回答。草食系男子や
乙男(オトメン)(乙女的な趣味を持つ男子)など、男性の物腰がどんどん柔らかくなっていく一方で、
なぜ女性の体はオヤジ化してきているのだろうか。
「現代は女性にとってストレスが多い社会。会社では男性と同等に働き、同時に家庭では家事や
子育てに追われる。親戚やママ友、ご近所とのつき合いにも気を使わなければならないなど、
女性がさらされるストレスは本当に多様。体のオヤジ化に悩んで受診される方はみなさん共通して、
過度なストレスを抱えています」
と話すのは、女性のトータルエイジングケアを行う、成城松村クリニック院長の松村圭子先生だ。
「クリニックを訪れる患者さんはここ数年で顕著に増えています。ただそれは症状を自覚したり、
周囲から体や言動の変化を指摘されたりして来院される方々。自分では気がついていないだけで、
実はオヤジ化している潜在層はもっと多いと思いますよ」
自覚症状で多いのは、ドラマでも描かれていた男性のような太いヒゲのほか、ひどい抜け毛で
額が広くなったり全体に髪が薄くなる。そのほか口臭や体臭がきつくなる、体毛、特にヘソの下、
いわゆる“ギャランドゥ”が濃くなるなど、考えるだけでも恐ろしい症状ばかりだ。ひどい場合、
月経が止まる人もいるという。体臭や口臭の変化は、身近な人から指摘されるケースもある。
自分で臭いを感じる頃には、周囲はすでに気づいているかもしれないから、特に注意が必要だ。
■専業主婦や肉食女子にもオヤジ化の可能性はある
男性と同等に働いている女性の中には、体はもちろん振る舞いがオヤジ化している人も
目立つ。松村先生によると、これも男性ホルモンの影響だという。
「もちろん本人の性格によってもともと女性らしいか否かはありますが、言動が以前と比べて
極端に大雑把になってきた場合は、環境というより、ホルモンバランスの影響が大きいでしょう。
女性ホルモンが減少すると肌や髪の毛がボロボロになりますが、それを気にしなくなってしまうのも
また、男性ホルモンが活発化しているためといえます」
男性社会でバリバリ働いているわけではない女性なら、自分には関係ないと思うかもしれない。
しかし、ストレスの具体的な内容まで脳は区別しないので、働いている女性に限った話ではない
という。例えば子育て中の専業主婦でも、ママ友や嫁姑問題などで過剰なストレスにさらされると、
自律神経やホルモンバランスが乱れてオヤジ化する可能性は十分にあるから要注意だ。
「うちのママはおヒゲが生えてるよ」なんて子どもに言われる事態もあり得るわけである。
また、男性ホルモンが優位になると性欲が増してくるので、オヤジ化と同時にムラムラし始めた
という女性も多い。そもそも女性ホルモンが減り始めるアラフォー女子はそれまでより性欲が
増して、思春期の男子と変わらないくらい旺盛といわれている。
「仕事のストレスは多いけど、定期的にセックスしているから、オヤジ化とは無縁ね」
と思う人もいるかもしれないが、
「性行為そのものが直接女性ホルモンを増やすわけではありません。心が満たされる充実した
セックスなら自律神経やホルモンバランスが整いますが、性欲を満たすためだけの相手と
体だけの関係を持っても、逆にストレスになってしまいます」(松村先生)
いつまでもモテたいという気持ちを持って身だしなみや振る舞いに気を使うことは良いこと
だが、モテたいという焦りがストレスになったり、愛を感じないむなしいセックスを続けていると、
オヤジ化は悪化してしまうという。オヤジ化女子は奥深い問題なのだ。
■生活習慣の改善が一番の治療法
では、オヤジ化してしまった体は、もう女性には戻れないのか。
「生活習慣を改善するだけでも体は元に戻ります。ヒゲも、産毛に戻りますから安心してください」
と松村先生は言う。
ホルモンバランスを整えるためにピルを使った治療や、血流を良くする漢方治療もあるが、
まずは生活習慣を見直すことが肝心。質の良い睡眠やバランスの良い食事を規則正しくとること、
必要以上にテレビやパソコン、携帯電話を使用せずアナログな時間を持つこと、ゆっくりと
バスタブに漬かること、朝はバナナ1本でもいいので必ず食べること・・・など、ひと昔前のような
“普通の生活”が、ストレス解消の基本なのだ。
さらに、「寝る時はパジャマを着ましょう。ジャージやスウェットではダメ。寝返りや血流を
邪魔しない格好が快適な睡眠を促しますよ。それから休日の寝だめも良くありません。
日曜の夕方にブルーな気持ちになるのは、明日から仕事だからだけではなく、実は軽い
時差ボケを起こしているからなんです。休日でもせいぜい1時間長く寝る程度が限度」
と松村先生は話す。
男性から「かわいいね」「キレイだね」と声をかけてもらうのは、直接的な効果はないが、
気分が和らいだり、身だしなみを整えたりするきっかけになるのなら、言われないよりは
ずっと良いそうだ。治療をすれば最低でも3カ月程度でヒゲが産毛に戻り、抜け毛も減って、
振る舞いも変わってくるという。
「もともとサバサバした性格の人が突然しおらしくなるわけではありませんけどね(笑)。
自律神経やホルモンバランスが整えば、体も心も元の状態に戻ります」(松村先生)
忙しくてクリニックに行く時間がない、規則正しくなんて過ごせないなどと言っている場合ではない。
思いあたる人は、まずは生活を見直さないと、明日の朝には黒々としたヒゲを発見してしまうかも
しれない。
取材・文/阿部彩子、オフィス三銃士
<オヤジ化を食い止める改善リスト>