昨年12月17日。自民党が総選挙において歴史的な大勝を果たした翌日、都内の老舗出版社が
ひっそりと買収されていた。買収したのは麻生太郎副総理兼財務相のファミリー企業、株式会社麻生。
本社は副総理の地元、福岡県飯塚市だ。買収したのは出版社「ぎょうせい」とその親会社である
有限会社プラネットホールディングス。買収額は明らかにされていないが、麻生はみずほ銀行から
買収資金300億円を借り入れており、金額はそれ以上になると見られる。

 「株式会社麻生は明治時代に石炭採掘を始め、いまでは建設、不動産、医療関連事業も
手がけるコングロマリット企業で連結売上高は1400億円以上。社長は副総理の甥の麻生巌氏で、
副総理も5%の株式を保有する大株主です。すでに巌氏はぎょうせいの取締役にも名を
連ねています」(財務省担当記者)

 一方、買収されたぎょうせいは、霞が関では有名な官公庁御用達出版社。
「かつては『フォーブス日本版』という月刊誌を出版し、日本や世界の億万長者を掲載する
名物企画では麻生太郎氏が登場したこともある。同誌はすでに休刊となったものの、法令図書や
各種公務員便覧、地方自治体関係の印刷物などで大きなシェアを持っている出版社です」(同)

 ぎょうせいは2003年、当時の社長(オーナー一族出身)が12億円もの脱税を摘発され懲役2年、
罰金2億5000万円の実刑判決を受けたところから転落が始まった。10年前に750億円あった
売り上げは200億円台にまで落ち込んでしまう。それでも霞が関にもっとも食い込んでいる出版社を
現職の副総理が買ったとなればその意味は小さくない。

 「社長の巌氏はまだ38歳と若く、ニコニコ動画の役員にも入っている、なかなかマスコミが好きな
タイプ。これまでの手堅い出版物以外に、新雑誌や、果ては麻生氏が愛読しているコミック雑誌にも
参入するのではないかとも噂されているほどです」(同)

 さすがにマンガ雑誌の計画はないにせよ、内閣の中枢にいる政治家が、法令や税務に関する
大手出版社の経営を同時に手がけるとなれば、さまざまな憶測を呼ぶのもいたしかたない。
「麻生副総理はすでに次期選挙で長男への地盤禅譲が既定路線となっていますし、そうなれば
当然、霞が関最大の出版社が有力国会議員の会社という構図は継続していくことでしょう。
いますぐに大きな変化はなかったとしても、将来的に影響が出ないはずはない」(同)

 麻生副総理は同世代の政治家には珍しく「ネット」に親和性がある政治家として知られ、好んで
秋葉原を演説先に選ぶことでも知られる。それは「ニコニコ動画」への資本参加と決して無関係
ではないが、このたび「ぎょうせい」を買収したことは、ある意味ではニコニコ以上に麻生グループの
政治的支配力を強めることにつながりそうだ。

 「ぎょうせいは数年来リストラに取り組んでおり、銀座にある本社ビルもテナントとして部分的に
貸し出している。現在、株式会社麻生の東京拠点は九段下の千代田会館ですが、いざとなれば
麻生グループの本拠地を銀座に移転することも可能です」(同)メディア経営に参画する
麻生グループの隠然たる「官僚支配」に注目だ。

麻生さん
<メディア支配に乗り出すのか>