東日本大震災から、もうすぐ2年。東日本では今も地震が頻発し、次なる巨大地震も予想されるなか、
防災用品の需要がうなぎ登りだという。その代表が乾パンや缶詰、ミネラルウォーターといった非常食。
常温での長期保存が可能、持ち運びに便利なことが条件だ。加えて「おいしさ」も追求した非常食に
最近人気が集まっている。

 非常食メーカー最大手である尾西食品の主力商品は、インスタントのご飯シリーズ。炊飯を
特殊技術で乾燥させた「アルファ米」を活用、保存期間は5年だ。大震災後、約4割増産しているが、
納品まで5カ月待ちの状態が続いている。

 「被災者の皆さんから『災害時こそ食事が楽しみ。ふだんと同じような食事がしたい』という要望が
多かったため、味の改良も重ねてきました。大震災のとき、実際に当社商品を食べたお客さまからの
リピートも増えています」と、同社社長の林紳一郎さんは話す。バラエティも豊かで、現在12種類を
揃えている。「個人向けでは、五目ごはんやドライカレーが売れ筋ですね」(林さん)。官庁や企業向けが
約9割を占めるが、一部のホームセンターなどでも購入できる。

 菓子も非常食としての評価が高まっている。栄養があって手軽に食べられ、何よりおいしいからだ。
森永製菓は、非常用の缶入りのビスケット、キャラメルが好評だったことを受けて、焼きチョコレートの
「ベイク缶」を2月に発売した。非常用の缶入りチョコレートは業界初だという。

 「大震災の経験から、とりわけお子さんに人気が高いことがわかりました。災害時のエネルギー源
にもなります。焼きチョコレートなら、夏場でも溶けないため、風味が落ちません。缶入りなので
保存期間は2年間、通常商品の2倍です」と、同社広報担当は説明する。スーパーなどから多くの
引き合いがきているそうだ。被災者の生活の質を保つために、食事の重要性が再認識されている。
防災用品のなかには、ぜひ“おいしい非常食”も備えたいものだ。

(文/野澤正毅)

非常食
<写真>“行列のできる非常食” バリエーション豊かな尾西食品のご飯シリーズ