■テレビでおなじみの「日本直販」ブランド
 創業当初は通信教育業者だったが、法人化と同時に通信販売事業に参入。当社の知名度を
飛躍的に向上させたのは「日本直販」ブランドで昼夜に放送されるテレビショッピングだった。業界の
草分け的存在で、債権者集会で副社長が「日本直販ブランドの知名度は95%」と語るほどブランド
浸透率は高い。数々のヒット商品を生み、1992年4月には一等地に13階建ての本社ビルを建設、
95年9月期には売上高約525億円を計上していた。

 90年代後半に入り、インターネットの普及に伴って消費者の購買スタイルが変化したことで、
倒産直前の2011年9月期の売上はピーク時の半分にも満たない約249億円まで低下。昨年5月、
取引金融機関にファクスでリスケ(債務返済の繰り延べ)を要請する書類が送られてきて、資金繰り
悪化が明るみに出た。リスケ要請の際は経営陣が経営実態の分かる資料を携えて自らの足で
廻ることが通例。当社の場合、ファクスで書類が流れてきただけで、詳細な資料を求める金融機関
には数枚の資料を本社まで取りに来させていたが、この一連の行動が金融機関には誠意のなさと
映ってしまった。

■長年の粉飾が発覚し債務超過に転落
 7月、バンクミーティングで資産査定の途中経過が公表されたが、出てきた数字は債務超過額
約90億円という予想外のものだった。本社ビルの含み損60億円内外も含まれていたが、それを
勘案しても11年9月期の決算では約70億円あった純資産が約30億円の債務超過に転落。実に
約100億円の資産が目減りしていた。

 経営陣は在庫の架空計上や売掛金の水増し計上などによる粉飾決算を行っていたことを認めたが、
いつから始めたのかは定かでないと回答。取引先で信用不安が囁かれ始め、事業環境は悪化、
基幹事業のテレビショッピングも赤字を強いられていた。スポンサーによる再建を模索するも具体的な
企業名は明かされず、信用回復に至る材料は見出せないでいた。

■民事再生申請で経営責任を追及
 スポンサー選定の結果が出ないまま売上減少に歯止めがかからず、取引条件の変更に応じざるを
得なくなり、資金繰りはさらに悪化。11月末日までの約16億円の支払いが不可能になり、ついに
11月9日、民事再生法の適用を申請した。

 申立書によると負債総額は約174億9300万円、債務超過額は約106億円まで膨張。債権者集会
では取引銀行から経営陣の個人保証履行や特別背任の疑いについての質問が出るなど、粉飾決算の
責任を問う姿勢が明らかとなった。日本直販ブランドはスポンサーに譲渡されるが、長く粉飾決算に
手を染めてきた当社が今後、債権者に対してどのような誠意を見せられるか、注目が集まっている。