さまざまな人物が登場して、あたかも実際の出来事かのようにストーリーが展開する「劇場型詐欺」。
現在、詐欺の被害金額が急増している背景には、この劇場型詐欺の巧妙化があるという。
今回は、その手口のひとつ「買え買え詐欺」を紹介。

■公的機関の権威を利用し偽の保証を信じさせる
 「買え買え詐欺」は、これは特殊詐欺のなかでも振り込め類似詐欺に分類される「金融商品等
取引名下の詐欺」だ。その多くが未公開株や社債などを高く転売できるいう架空の儲け話でカネを
騙し取る手口。しかし最近はその対象商品も多様化し、ダイヤモンドやiPS細胞の特許権、さらに
「仏像の転売」を目的とした手口も報告されている。

 例えば「仏像の転売」詐欺では、消費者に商品を売りたいというA社と、A社の商品を高値で
買い取りたいと申し込むB社が登場する。もちろんどちらも同じ詐欺グループの仲間同士であり、
A社の商品を買っても高値で買い取られることはない。そして、とくに悪質なのは、第三者を装って
B社を信用させる手法だ。

 「公的機関の名前を使って商品や業者が安全であると保証されると、思いがけず簡単に騙されて
しまう人も多いでしょう。人は権威に弱く、これによって一種のマインドコントロールを受けた状態に
陥ってしまうのです」(紀藤弁護士※)これはまさに消費者を「A社、B社は信頼できる相手だと
信じ込ませるため」の手段。つまり、劇場型詐欺がさらに進展した形といえるだろう。
※消費者問題で多くの相談を受ける紀藤正樹弁護士

詐欺

<買え買え詐欺における関係図>

■場合によっては家を担保に借金をさせられることも
 買え買え詐欺は、さらに「代理申請型」「恫喝型」「口座振込回避型」「根こそぎ型」の4つに分類
される。マンガの例は「代理申請型」と「口座振込回避型」を組み合わせた手口だ。他の「恫喝型」は
消費者が購入を断ろうとすると、乱暴な言葉で脅しをかけて無理やりにでも商品を買わせようとする
ものである。「根こそぎ型」では、消費者に金銭的余裕がなくても、詐欺グループが貸金業者を紹介して
住宅などを担保に借金をさせて商品を買わせようとする。

 また、過去に買え買え詐欺の被害に遭っている人は、「まさか、また騙されることはないだろう」
という心理的な隙ができやすいため、より注意が必要となる。そんな人をターゲットに、過去の損失を
取り戻せるという甘言(かんげん)を弄する「被害回復型」が存在するからだ。これは、その被害者に
対して過去に買え買え詐欺を実行した詐欺グループ(もしくはつながりのあるグループ)が別の団体を
装って「損失を取り戻せる」と再び電話をかけ、カネを巻き上げようとする手口である。もし楽に金儲けが
できるという電話が舞い込んできたら、まずこの買え買え詐欺を疑ったほうが賢明だ。

取材・文/オフィス三銃士