今年のプロ野球ドラフト会議で、メジャー挑戦を表明しながら日本ハムの1位指名を受けた
160キロ左腕・大谷翔平(花巻東)。当初は日ハムとの交渉を門前払いするかと思われたが、
意外にも「逆転入団」の目が出てきているという。スポーツ紙記者が語る。

 「もともと大谷の両親は日本でプレーして欲しいという希望を持っており、日ハムはその部分に
可能性をかけて、あえて指名したのです。山田GMらは11月10日に大谷の両親と会っていますが、
25ページもの資料を作成し、日本、韓国から高校生が即メジャーに挑戦して成功した例がほとんど
ないことなど、国内でプレーすることが最善である客観的理由を説明。これに大谷の父、徹さんが
共感している状況です」

 当の大谷本人は「だからこそ、高校生としてのパイオニアになりたい」とあくまでメジャー挑戦を
貫く構えを見せているというが、大谷の父、徹さんは社会人の三菱重工横浜で活躍した野球人で、
素人ではない。どんなに高校生離れした球速を持っていたとしても、上には上がいるメジャーの世界がそう甘くないことは百も承知なのだ。

 「両親には、08年に社会人から直接メジャー入りして話題となった田澤純一が、ケガなどもあって
活躍できないでいることが不安要素となっている。田澤がメジャー入りした後、高校生がメジャーに
行った場合、3年間国内の球団と契約できないとする、いわゆる“田澤ルール”ができたため、もし
失敗すれば『日本に戻って・・・』という選択肢すら消えてしまう可能性もある。正直、逆転入団する
確率は20%くらいあると思いますね」(前出の記者)

 日本ハムは大谷獲得のために両親の説得を続けるほか、打者としても高校通算56本塁打の
センスを持つ大谷に対し「エース兼打者」という仰天プランも用意しているという。「既存の価値観よりも、
誰もやったことのないことに挑戦したいという大谷の性格に合わせたプレゼンテーションで、
日本ハム側の準備も相当念が入っている事を感じさせます」(同)

 密約の存在を疑われないよう、あえてドラフト前から「大谷の1位指名」を宣言した日本ハムは、
現在12球団でも最も近代的な球団経営システムと組織マネジメントを導入していると言われている。
ドラフト戦略が単なる無謀な場当たり主義でないことは、十分に証明された。もっとももし大谷が
日ハム入りをすれば「メジャー挑戦と言ったのは何だったんだ」という批判を受けるのは免れない。
大谷の「勇気ある決断」は、今週にも判明するだろう。

大谷選手

<写真>国内かメジャーか・・・