韓国の鬱陵島から竹島への観光船が出ている。竹島へ行くには現在、この船に乗るしかない。
領土問題喧しい今、日本人は乗船できるのか。韓国語が話せる記者が行ってみると・・・。

 旅は職務質問から、始まった。韓国南東部の工業都市、浦項(ポハン)。“竹島に一番近い島”
鬱陵島(ウルルンド)へ行く高速フェリーがここから出発する。乗船ゲートの前で、白シャツの男に声を
かけられた。「部屋で話を聞きたい」中には警官もいた。「旅程は?」と韓国語で聞かれた。次の質問が
こうだった。「独島(ドクト)には行きますか?」「そりゃ、行きたいです」「鬱陵島で聞いて下さい」

 その後、2度“職質”を受けた。ジーンズ姿の服装が目立つのだろう。ほかの韓国人観光客は、
ほぼ全員はトレッキングシューズを履いた軽い登山姿だった。3時間30分の航海後、鬱陵島に
着いても“職質”だ。こちらも「何が聞きたいんですか? 独島に行くかどうか?」と噛みついてみる。

 すると、誠実そうな駐在警官が答えた。「違います。竹島は、望むのならば行けます。ここから車で
15分くらい行った、サドンという港から船があります。宿は取っていますか?本当に困ったことが
あればご連絡を」度重なる職質は、一人旅の身には重圧になった。

■「予約がいっぱいなんですよ。今日も、明日も」
 日本人は行けるのか、行けないのか−−あえてこの点は詰めないままに鬱陵島を訪れた。竹島行き
のフェリーの事前予約の連絡を取れば、拒否される心配があった。かつ「日本人が行く」との事前情報
が不利に働くかもしれない。だから、当日の“キャンセル待ち”に賭けた。現場の担当者がその場の
判断で通すことを。

 サドン港に行くタクシーで運転手に「独島に行ったことがあるか」と聞いた。日本人だとは名乗らずに。
「あるよ。観光でな。2〜3時間の周遊コースだ。天気がよければ、島に上陸できる。でも渡し場の設備が
あまり整っていないから、ちょっとでも天気が悪いと周辺から眺めるだけだ」

 カーブの多い凸凹の山道を抜け、海沿いに出た。5分ほど走ると、2階建ての近代的なフェリー
ターミナルが突如現れた。「予約は満杯だろうが一応、乗れるか聞いておいで」ターミナルでは、
14時30分発の乗船手続きが行われていた。

 「キャンセル待ちです」そう言って、日本のパスポートをポンと出す。韓国人も、乗船には身分証明が
必要だ。担当の中年女性は、これに目もくれなかった。「予約がいっぱいなんですよ。今日も、明日も。
もうひとつ船を出している会社があるから、そちらに問い合わせてみてください」出航する船を見送り、
初日のトライを終えた。

■ひとつの船会社は「日本人も行けます」
 10月中旬のこの時期、島は悪天候に見舞われていた。翌日、本土に戻るフェリーを仮予約して
いたが、数日は出航が不安定な状況だった。一方、超人気の竹島便もいつ取れるかわからない。
しかし、あまり長居すると警戒が厳しくなるだろう。明日がキャンセル待ちをする最後の機会だ。
そう判断した。

 朝8時30分の出発時間に合わせて、再びターミナルへ。しかし、雰囲気がおかしい・・・閑散と
している。ターミナルでは中年グループが話をしていた。「悪天候で今日の便はすべて欠航」と言う。
85卆茲楼天候らしい。ここですべてを断念せざるを得なかった。日本人は行けるのだろうか。
最後だ、と思い2つの船会社に電話をしてみた。

・ドルフィン号
「予約は10日以上先まで埋まっています。日本の方は・・・行けるんですが、現地で雰囲気が悪くなる
可能性がありますので・・・」
・独島サラン(愛)号
「1週間すべて満席です。日本の方も行けます」

 領土問題を争う島も、労さえ厭わなければ上陸できる可能性がある。目立たぬよう登山服で行くこと。
ヒゲを剃ること(韓国人にヒゲの男性は少ない)。しっかりとした韓国語を喋り、単独行動を取れること。
連日、キャンセル待ちを繰り返せる時間的余裕。プレッシャーに動じないこと。

 職質だけではない。帰り道、独島に行けたという40代女性からこんな話を聞いた。「行くと、韓国国歌を
歌いたくなると聞いていたんだけど・・・本当だった。みんなで大合唱したのよ」本来的には日本人が
行けない理由はない。あちらが「ごく普通の韓国領土」と主張するのなら。

竹島看板

<写真>韓国本土側の船の出発地、浦項。乗船場近くには竹島との距離を表す看板。