いまや国民の必需品ともいえるパソコン。このパソコンを使っているうちに、日常生活が
困難になるほどの支障がでてくる可能性があるという。「ただパソコンを使うだけ」とは
穏やかではないが、何が原因なのか? そしてどうすれば解消できるのか? 緊急レポート。

■無意識に健康をむしばむ恐ろしい“パソコン首”
 「多くの人が意識している以上に、首の異常は健康に直結しています」長年、首や足裏からの
アプローチで10万人以上の人々の体の不調を診療し続けている、カサハラフットケア整体院院長の
笠原巖先生は語る。

 「自律神経失調状態やうつ状態などに陥ったとき、根本原因を解決しなければ改善は
一時的なものです。足裏の異常に加え、姿勢の悪さからくる首の歪みや変形がその原因で
あることは非常に多く、正すことで劇的に改善することはよくあります」

 そんな笠原先生がいま危惧しているのが、多くの人が首に大きな負担をかける“パソコン首”
状態になっているということである。パソコンで作業をしている人の姿を横から眺めると、ほとんどの
人がディスプレイに向かってニュッと首を突き出し、肩を丸めている。集中して作業をすると、
自然と誰もがこのような姿勢になってしまうのだ。だが、これが首によくない。

 直立している場合、首は背骨の上にバランスよく乗って頭を支えている。頭の重さは成人男性で
5〜6kgもあるとされ、立っている間、首はつねにその重さを受け止めている。パソコン操作時には、
そんな頭がせり出した状態を必死に支えるのだから、首にどれだけ大きな負担がかかるかは
想像に難くない。この結果、首こり、肩こりといった症状があらわれるようになる。

■首の不調が引き起こす体の不調
 そして首への負荷が引き起こす不調は、これだけにとどまらない。「首への過度な負担が続くと、
首の歪みや変形から自律神経を圧迫し、誤作動を起こします。この神経は呼吸、代謝、消化と
いった生命活動の維持や調節を行っているため、ここに異常をきたすと体中でトラブルが起きる
のです。軽いもので頭痛や下痢、ひどい場合だと不眠症やうつ状態を引き起こします」(笠原先生)

 そして首と対(つい)になるのが足裏。笠原先生によれば、「足裏は体を支える土台です。浮き指や
外反母趾(がいはんぼし)があると、重心のかかとへの片寄りと左右差が起こり、その不安定を首で
補いやすいのです。そのため、歩く度にかかとからの過剰な衝撃とねじれが首に繰り返されて
しまうのです」

 また、なで肩や長い首といった身体的な特徴によっても、首は痛めつけられる。「ほかの医院で
自律神経失調症やうつ状態、パニック症と診断された後に、当院を訪れる患者さんたちには、98%以上
の割合で浮き指や外反母趾が見られました。

 本来であれば、足指、指の付け根、かかとの3点で体を支えて重心が正常なのですが、この人たちは
足指が踏ん張れず、重心のかかとへの片寄りと左右差があったのです。その不安定を首が補おうとして
歪みが生じ、更に歩く度にかかとからの衝撃やねじれが繰り返された結果、首の変形から自律神経が
誤作動し、不調につながっていたのです。首は人体の急所であり、大変傷つきやすい部分。
にもかかわらず、人々の首に対する意識が大変低いことに問題があると思っています」

首

<首の異常をチェックしよう!>


取材・文/オフィス三銃士