青梅、福生(ふっさ)、瑞穂(みずほ)、奥多摩の東京・西多摩エリアでいま話題になっている
“ご当地グルメ”がある。地元生まれの高級ブランド豚「TOKYO−X」を使ったそば・うどんだ。
TOKTYO−Xは1997年に青梅(おうめ)市にある旧東京都畜産試験場(現・東京都農林水産
振興財団)が開発した豚。肉が軟らかく、肉汁が多いなどの特徴を持っており、他の豚肉の倍近く
と値が張るにもかかわらず、地元のスーパーでもすぐに売り切れとなる人気商品となっている。

 そのTOKYO−Xをメニューに生かせないかと考えたのが、畜産試験場の前にあるそば店
「津久茂(つくも)」の店主・築茂豊さん。「昨年10月から数量限定で『肉なんばん』にしてメニュー
に加えたところ、カツオ出汁(だし)のつゆとぴったりと合い、口コミでお客さまの注文が徐々に
増えていきました」という。

ブランド豚TOKYO−X肉そば

<写真> 肉なんばん。おいしくてボリューム満点!

 ちょうどご当地グルメの開発に乗り出していた青梅市のバックアップや、振興財団OBの
お客さんとのご縁もあって、4月からはTOKYO−Xの供給を安定的に受けられるようになった。
そして、いまでは東京都麺類協同組合西多摩支部加盟の17店でもTOKYO−Xを使ったそばや
うどんのメニューを提供するようなっている。

 また、5月に開催された地元のB級グルメ大会に築茂さんは他店と共同で出店して見事1位に
輝いたことで、認知度が一気に高まった。「『肉せいろ』も合わせると、うちの店での注文は
1日平均で15〜20食。日曜日など多いときには40食近くなっています。他県ナンバーの車で
お越しになるお客様も少なくありません」と築茂さんはいう。

 津久茂の肉なんばん、肉せいろの値段は945円。おいしい上にボリュームもあることから、
どの店でも若者の来店が増え始めている。築茂さんはTOKYO−Xのメニューを提供している
地元そば店の「店舗マップ」の作成を進め、ご当地グルメとしての地歩を固める考えでいる。
西多摩といえばゴルフ場が数多くあり、御岳山という人気の観光スポットも抱えている。
行楽帰りに立ち寄って、TOKYO−Xの肉なんばんや肉せいろに舌鼓を打ってみてはどうだろう。

(文/伊藤博之)