政府(枝野官房長官・当時)が「ただちに影響はない」と説明した放射性物質の影響で、
がん保険がなくなるかもしれない。知らないでは済まされない、医療保険のタブー!

■ひそかに増えていたがん保険加入者
 東北地方を中心にがん保険加入者が増えている――そんな噂が、保険業界周辺でまことしやかに
囁(ささや)かれていることをご存じだろうか。原因とされてるのはもちろん、福島原発から漏れ続ける
放射能だ。福島県内では7月に入っても、毎時35マイクロシーベルトと、一日の平常値から
約500倍もの放射線量を観測中。この高放射線量が将来的ながん発症リスクを高めるという不安が、
がん保険加入を加速させているらしい。

 そこで、実際にがん保険の加入者数は増加しているのか、東京海上、ネクスティア、アクサ、
日本生命、明治安田など、大手保険会社に問い合わせたところ、アメリカンファミリー生命保険
(アフラック)だけが明確な解答をくれた。それによれば、2011年度のがん保険加入者数は前年比
18・5%の増加。また、データ開示は拒否しながらも、「確かに原発事故から、問い合わせは増えて
いる」と回答した保険会社もあった。がん保険加入者増加の噂は、デタラメではなさそうだ。さらに
保険販売員のG氏に話を聞くと、驚くべき話が次々に飛び出した。

■医師と保険会社が知る“人気殺到”の理由
 「福島県内で加入者数が増えているのは、業界内では常識。そのおかげで成績倍増などという
景気のいい話さえありますよ」G氏はそう語り出す。「保険加入そのものが増えたきっかけは、昨年の
原発事故で間違いありません。なかでも、親が子どもにがん保険をかける例が目立ちます。40歳以上
の大人なら諦めもつきますが、先の長い子どもはなんとか手を打っておいてあげたい、という思いが
強いようです」未来ある子どもを少しでもリスクから遠ざけたい、そんな親心の表れであろうか。
その証拠に、加入者の平均年齢は震災を境に下がっているという。

 「実は、福島県に限らず、都内でもがん保険加入者は増えています。特に人気があるのは、がんと
診断されると入院・通院にかかわらず一生または完治まで毎年一定額が支払われ、保険料の支払いも
免除される保険です」(G氏)そもそも、放射能の影響が今後顕著に現れてくるだろうことは、医師の間
でも自明のこととされている。事実、福島県南相馬市の渡辺病院では震災後、若い層を中心に医師と
看護師がいなくなった。理由はもちろん、放射能に対する不安からだ。放射能の怖さをよくよく知っている
立場だからこそ、彼らは福島を真っ先に離れたのだ。

 「医師からのリークにより、放射能の影響の深刻さを理解している保険業界が対策を立て始めるのは
時間の問題。将来的な保険金支出の増大がわかっているようなものですから、保険の販売を一時中断
したり、販売代理店への手数料を引き下げて、実質的に販売させないというような手を使ってくるかも
しれません」(G氏)

がん保険

<写真>減少傾向にあったがん保険加入数が、2011年度には目に見えて上がった。もし2012年度も
増加すれば、そう遠くない未来に「がん保険」がなくなるという(アフラック発表資料より作成)


■もうすぐなくなる!?がんの治療保障 G氏は、将来的には保険料が値上げされるという。
 「医療保険は金融庁の認可製品なので、保険料を簡単には変えられません。しかし、数年後には
保険料引き上げの可能性があります。もちろん、その際には『平均寿命が伸びたため』などという
もっともらしい理由になるでしょう。間違っても『過去の被曝によってがん発症リスクが高まった』など
とは言えませんから」

 実際にがん発症件数が目にみえて増加していけば、がん保険の保障が見直されることは確実。
さらに、商売として成り立たなくなる日が来ることも否めない。そうなれば、がん保険そのものが
なくなることも充分に考えられる話だ。つまり、日本人の死亡原因の第一位であるがんを発症しても、
安心して治療を受けることができなくなるのである。がん保険に加入できる最後の機会は、目前に
まで迫ってきているのかもしれない。

取材・文/オフィス三銃士