多重債務者を生活保護受給へ送り込み、甘い汁を骨までしゃぶる業者を集めた座談会を実施。
生活保護をビジネスとして、浮かれる男たちから手口と狙いを聞いた。


◆生活保護ビジネスは存在する!
―さっそくですが、生活保護ビジネスというのを皆さんがやってるっていうのはホントですか?

A「マジですよ。僕は金融会社のワールドに十年勤務してたんですが、潰れる前に辞めたんですよ。
その後、最初は高利のギリギリ闇金みたいなもんでしたけど、それもヤバいですからね」
B「私のところもビジネスのうまみは少ないけど、斡旋してますね」

―乙さんは元武富士でしたね? 

B「取立て部隊でした。こっちはリストラでして、手に職といえば金貸しと取立てくらいで」
C「俺ンところはノンバンク系で中小企業への貸付専門でね。いまもちびっと回してますが、
シノギとしての生活保護斡旋は、そこそこ儲かるんすよね」

―ノンバンク系っていうと、消費者金融とは別なんですか。

C「いまは同じ意味に使われてますけど、基本は銀融資が頼めないから、ウチに来るという
企業さん向けです。でも、今はそれではやってけないから消費者金融も兼任してるってわけです」
D「皆さんは関東でお仕事されてますけど、ボクんとこは大阪で手広くやらせてもらってます。
サラ金は個人の無担保融資なわけで、基本金詰りのお客さんが主。せやから生活保護を返済に
当ててもらお、そう思うのは主流なんですけどね」

◆生活保護ビジネスは儲かる
―では、儲けはどうなんですか。

B「平均15万の生活保護がついたとして、毎月5万入るわけです。現状、顧客のうち生活保護
受けさせてるのは32世帯、掛けること5万ですから月に160万のあがり。でも、世帯ごとに受給額に
ばらつきがあるから」
A「うちは27世帯がお客です。BさんとこやCさんとこと被ってるお客が三割いますね」
B・C「(爆笑)狭いもんですよね。自己破産者もそうだけど、多重債務者は同じメンツで譲り
合いってところもあるから」
D「関西圏もそうですね。ウチがお世話してるお客さんは129世帯で、支店が京都や滋賀にも
あるんですが、合算すると298世帯がお客さんです」
A・B・C「おー! 滋賀とかけっこう、ナマポ(※)は貰ってるんじゃない?」
D「滋賀のお客さんは標準3人世帯が10に母子世帯が28ありまありますね」

◆客層の大半は多重債務者
C「お客の基本は多重債務者ですね。どうですか、皆さんは?」
A・B・C「(全員が同意)そうですね」
C「中には生活保護を受けたくなくてウロウロ金融を渡っては断られてくるのもいますよ。
定職がなくてね。でもまあ、食い詰めたお客が来て、返済の当て無しって場合に教えて
あげるわけで」
B「ブラックな客のうち、弁護士に知恵つけられてってのもいるよね。書類も完璧に揃えてさ。
だいたい、資格の調査はお役所は甘いからねえ。すぐ貰えちゃう」
A「弁護士は汚ねえよ。過払いでサラ金やっつけて大儲けしておいて次は生活保護指南だからね」
D「ウチは提携している司法書士さんや弁護士さんに、困っているお客さんを紹介してもらってますけど」
C「えげつないなあ、じゃ多重債務者でない客も来るんじゃないの」
D「ええ。生まれの環境とか持病の問題を抱えてるとこから来てはるお客さんもいますよ。
支給額で足りんのでウチからがっつり借りて、生保でチビチビ返すっていうね」
A「普通の一家なんだけど、それぞれ子どもさんが成人して分散してる場合、それぞれに
生活保護受けさせて貸付する場合もあるな」
C「そっちが儲かるよね」
B「取りっぱぐれなし、客も安心。いいですよね、代わりたいくらいだもんな」
D「地方の地縁一族のお客さんはそっちのご利用されてますよ。率がいいから」

◆生保ビジネスはどこまでも
―皆さんは生保ビジネスから足を洗わない?
A「今のところ、ないね」乙「制度が変わるまではやれるとこまでやるつもり。ベーシックインカムに
なっても狙える商売ですよ(全員頷く)」
D「税金も上がるし、景気も下向き底なし経済でょ。これからですよ儲かるのは!」

※「ナマポ」とは「生活保護」もしくは、その受給者を呼んでいる。「生活保護」という文字の“生”と“保”の
文字が“ナマ”と“ポ”と読めることから。

(2012年6月7日・東京新橋にて)